内容説明
死は、命の終わりでしかないのか?生命科学の最新の成果をもとに、身体、脳、細胞、DNAとさまざまなレベルに視野を広げ、死に隠された驚くべき意味を明らかにする。
目次
1章 細胞の死
2章 死のもう一つの顔
3章 性、DNAの隔離、そして細胞の死
4章 セックスから死へ―老化の不思議
5章 細胞の上下関係―脳死とは何か
6章 生命の深淵を覗く―ウイルス、胞子、生命の意味
7章 終幕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
11
「すべての(分化前)細胞は平等である。しかし一部の(生殖〜無限に分裂できる)細胞はほかの細胞よりも、さらに平等である」 被差別階級であった体細胞の中で、あらたな特権階級となった脳細胞が、おのれの永続を訴えると、それが不死への願望となるのであった。しかし真の特権階級である生殖細胞は、最初から不死なのである。2022/08/03
佐藤一臣
9
生命の目的は複製。分裂複製する生物は効率的で、死は事故以外にない。ところが複製のための生命維持エネルギーを他の生命から奪いあうようになると事故死が増加。奪い合いに勝つには身体を大きくする必要があり多細胞化していく。それでもウイルスや細菌との戦いの中で複製を続けるには、細胞死というアポトーシスを免疫細胞が指令して、感染したり壊れた細胞を自殺へと追いやる。生殖細胞は体細胞に守られ、体細胞が傷ついても生殖細胞は守られる。さて、死とセックスの相関はわからなかった。ここが肝なのになあ2022/06/16
手押し戦車
9
DNAの目的はただ一つそれ自身複製する事。ひとたび適当数の生殖細胞がDNAを次世代に伝えるチャンスを得たら体細胞は余分な荷物になり余分な変化が次代に伝わらないように、死ななけれならない。DNAの指示に従って細胞は老化し自ら進んで死ぬ。生まれてからプログラムされている。DNAから見ると細胞はまさに利他的行動で忠誠を示しDNAの指示で細胞は利己的行動をする。DNAは次代に変化が伝わらないようにするのが利己的行動になる。全ては利己で動いて進化する。2014/05/07
Takahara Yutaka
0
バクテリアは死なない。生物は進化の過程で「死」を獲得したらしい。現在、身の回りの生き物は「死」を獲得した生物ばかりなので、「死ぬ生物」は「死なない生物」より、進化のうえでかなり強力らしい。その答えを求めて、この本を読んでみたが、書いてなかった。原題の "Sex&The Origins of Death" そのものの内容でした。翻訳者は我が母校の教授なんですが、このタイトルと内容の相違は気に入らない。この出版社の本には気をつけよう・・。 2015/10/12
johnlenon64
0
現在の世間が描いている死のイメージから、大きく離れたことが書かれていると思う。 とはいうものの、別に科学的に変なことが書いてあるわけではない。多分、世間が科学的発見がもたらす死生観の変化について行けてないだけなのだろう。そういう意味でエキサイティングで面白い本。 詳しくないが詳細は以下で 参照資料20150330死はなぜ進化したか http://kokutoarchives.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/20150330-e4c7.html2024/12/04
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