内容説明
勝ち組は狂信的なテロリストだったのか!?戦後、ブラジルの日本人移住地で狂信者、テロリストと決めつけられ、圧殺された人々の声を丹念に拾い戦争とは、移民とは、ナショナリズムとはなにかを問う、在伯新聞記者の渾身のルポ!
目次
1 「勝ち負け抗争」の流れ
2 大宅壮一「明治が見たければブラジルへ!」の意味
3 日本移民と遠隔地ナショナリズム
4 身内から見た臣連理事長・吉川順治
5 二人の父を銃弾で失った森和弘
6 襲撃者の一人、日高徳一が語るあの日
7 正史から抹殺されたジャーナリスト、岸本昂一
8 2000年に開かれた日系人の“パンドラの箱”
9 子孫にとっての勝ち負け抗争
著者等紹介
深沢正雪[フカサワマサユキ]
1965年、静岡県沼津生まれ。三重大学卒業後、ブラジル邦字新聞の研修記者を経て、群馬県大泉町でブラジル人と共に働いた体験を「パラレルワールド」(潮出版)として出版。潮ノンフィクション賞を受賞。2001年、サンパウロの「ニッケイ新聞」入社。2004年から同紙編集長として現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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塩崎ツトム
5
表紙はおどろおどろしかったが、中身はとても素晴らしかった。21世紀になってから、かの「勝ち組・負け組闘争」の真実が解きほぐされていくことはとても有益なことだと思う。それに、地球の反対側の日系移民たちのアイデンティティ問題も丁寧に掘り下げていて実に良い。2017/04/20
千本通り
0
戦前のブラジル移民の人たちは日本人以上に日本人になろうと意識し、戦争が始まって日本語の情報が途絶した中で、指導者、富裕層がブラジル政府からスパイ容疑でひどい仕打ちを受け、サントスでは日本人の強制立ち退きも起こった。そんな彼らにとって日本が負けることは本国に戻れないことを意味し「勝ち組」が生まれた。「負け組」はブラジル政府からのいじめを回避する行為だったが、仲間からは裏切りと見なされ、精神的に追い込まれた彼らの間で血なまぐさい殺し合いが起こった。 2021/08/19