内容説明
フィリピンにおけるアジア太平洋戦争での死者は、日本人の軍人・軍属だけで49万9800人にのぼる。彼らは何を信じ、何と戦い、何を思い死んでいったのか。生き地獄を歩きつづけた兵士が、いま戦争の真実を語る。
目次
第1章 出征(昭和十九年八月二日~九月二十七日)
第2章 駐屯(昭和十九年九月二十八日~二十年一月八日)
第3章 戦闘(昭和二十年一月九日~三月三十日)
第4章 戦傷(昭和二十年三月三十一日~五月三十日)
第5章 敗走(昭和二十年五月三十一日~八月十八日)
第6章 終戦(昭和二十年八月十九日~九月十九日)
第7章 P.W.(昭和二十年九月二十日~十二月十日)
著者等紹介
矢野正美[ヤノマサミ]
大正9年愛媛県生まれ。昭和9年壬生川尋常高等小学校卒業。16年3月現役兵として工兵第一一聯隊に入隊、17年8月戦車第二師団工兵隊に転属、20年12月比島戦線より復員する。34年芸予産業株式会社創立、代表取締役を務め、平成1年同社取締役会長に就任。平成24年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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戦争を忘れないの本棚
感想・レビュー
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Toska
6
戦後すぐにまとめたメモを基にしているためか、恐ろしいほど正直で飾り気のない戦記。自ら竜宮城の如しと回顧する楽しいルソン駐留から急転直下、米軍上陸後は地獄の様相を呈する。負傷や飢餓のみならず、住民殺戮、強姦、味方を爆殺しての食料強奪、果ては(明示されてはいないが)人肉食まで語られている(レイテでは屡々「猿の肉」と表現されたが、ルソンでは「水牛」が符牒であったようだ)。現地の人々に対する悔悟と謝罪が率直に表れているのも、この種の戦記としては珍しいかもしれない。2022/07/05
teitowoaruku
2
幾万の将兵が辿ったであろう、ルソン島での悲惨な敗走の記録。駐屯期の気楽さと、戦傷を負ってからの生き地獄の落差が真に迫っている。何のためにこんな遠い国で戦ったのか、という著者の懊悩が胸を打つ。2021/10/22
tecchan
2
太平洋戦争のフィリピンルソン島の戦いから奇跡的に生還した兵士の手記(日記)。厳しい戦闘と飢餓との戦い、凄絶な戦争体験が語られている。21歳という若さで戦死した自分の伯父が、この本に描かれるサラクサク峠で亡くなっていると聞いており感慨深い。2017/07/16