内容説明
人は齢を重ねてそこに何を見るのか。誰もが避けては通れぬ道の先を、静かに見つめる短編集。
著者等紹介
三宅麗子[ミヤケレイコ]
1949年福島県生まれ。お茶の水女子大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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お抹茶
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定年後の夫やその妻を主人公とする短編集。決して不幸ではないがなんとなく満たされない気分を掬っている。老いを受け入れざるを得ない時期でもある。ニュースで何十年先の計画というものを見聞きすると,そのころ生きているだろうかと考え,「自分の死というものが現実味を帯びて迫ってくる」。圧巻は表題の「こぬか雨」。九十歳の達観の域には未だ達せず。「どの時期の記憶も、同じような距離感で自分を取りまいているような気がする」,「あの世は確かに存在するんだって思ったとき、この世のほうがかえって異国なのかもしれないって思ったの」。2023/02/21