内容説明
明治11年、一人の英国女性が東北・北海道で見たのは古い日本から新しい日本への変貌だった。官営の生糸工場、洋風建築の師範学校そして西洋式の病院には焼魚とダイコンの臭いがただよっていた。東北で彼女が出会った3人のクリスチャン学生の名は―イザベラ・バードは日本の信仰のあり方、竹蛇篭による伝統的護岸工事、漆、蝋、生活に密着した紙など消えつつある習俗と生産の姿を描いていた。付与された日本の予算概表は当時の日本の政経の姿を語る。そして東北・北海道の新聞は彼女の来訪を逐一報じていた。
目次
第1章 横浜・東京―ハイブリッドな街と最初に眼を惹かれたもの
第2章 栃木県―北部日本旅行に出立‐日光滞在
第3章 福島県―いよいよ未踏の地へ
第4章 山形県―西洋人のいない内陸の旅へ
第5章 秋田県―病院・学校・絹工場訪問と葬式・結婚式への同席
第6章 青森―子どもの遊び、訪ねてきたクリスチャンの学生
第7章 蝦夷(北海道)―辿り着いた未踏の地
著者等紹介
バード,イザベラ[バード,イザベラ][Bird,Isabella L.]
1831‐1904。ヴィクトリア時代のイギリス人。世界の西洋人の行かないところを独りで旅するレディ・トラベラーで、女性で最初の英国王立地学会特別会員となった。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ハワイ諸島、日本、ペルシャ、インド、チベット、朝鮮、中国、ウラジオストック、モロッコを旅行して、その旅行記を残した。日本へはチャールズ・ダーウィンの勧めでやって来て、森有礼、新島襄などと親交をもった。英国公使館で会ったアーネスト・サトウとは生涯続く友情で結ばれた。来日前には「貧しい人々のための洗濯場」や「御者のための休憩所」設置運動に関わったが、日本旅行の後の旅ではアジアでの医療伝道病院の設立に力を尽くした
高畑美代子[タカハタミヨコ]
1947年、北海道に生まれる。現在、弘前大学大学院地域社会研究科(後期博士課程)在学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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