内容説明
広東省の潮州・汕頭地域にルーツを持つ彼らは、華僑・華人を代表する言語集団の一つとして、世界に活動の場を広げている。本書は、移民する彼らの動態と文化の変容を各地の事例から報告し、「潮州人とはだれか」に迫る、初の論著である。
目次
まえがき―潮州人とはだれか
「潮州人」のエスニシティと文化をめぐって
第1部 中国、台湾(宣教師が見た一九世紀の潮州人;外の世界―一八五〇年から一九五〇年の潮汕における移民母村の女性;台湾南部の潮州系移民をめぐるエスニック関係―陳氏一族の社会的経験)
第2部 香港、東南アジア(潮州の「念仏社」とその儀礼文化―香港及びタイへの伝播と継承;潮州系善堂における経楽サービスとそのネットワーク―マレーシアとシンガポールを中心に;ベトナムの潮州人宗教結社―ホーチミン市とメコンデルタ;タイ現代史の中の潮州系善堂―華僑報徳善堂の発展と適応;海外華人宗教の文化適応―タイ国の徳教における「白雲師尊」像の変化を事例として;功徳がとりもつ潮州善堂とタイ仏教―泰国義徳善堂の事例を中心に)
著者等紹介
志賀市子[シガイチコ]
1963年生まれ。1997年、筑波大学大学院歴史・人類学研究科博士課程修了。文学博士。専攻は文化人類学、中国華南地域の近代道教史及び民間信仰研究。茨城キリスト教大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
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「東南アジアの華人慈善団体に関する人類学的研究-潮州係のエスニシティとネットワーク」の研究成果。「潮州人」とは中国広東省東部の潮州・汕頭地域にルーツを持ち「潮州語」を話す人々の集団。「広東人」、「福建人」、「客家人」などに比べてなじみがないが、香港や東南アジアの華人社会では独特の存在感があるようだ。本書は中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナムの潮州係移民について取り上げ、各地において潮州人社会が育んできた豊かな文化の一端を描き出している。主に宗教・信仰文化に関する解説が充実。2019/02/06