内容説明
白瀬探検隊を南極まで運んだ「開南丸」の名船長野村直吉。隊長白瀬とのかかわりを通じてその謎多き人物像に迫る長編小説。
著者等紹介
柴山芳隆[シバヤマヨシタカ]
1942年秋田市生まれ。1966年東北大学文学部卒業。教壇に立つかたわら執筆活動に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamakujira
5
白瀬矗の南極探検を支えた野村船長の回顧録という体裁で進む物語は、準備不足からの遅延、隊内の軋轢、後援会の資金横領など英雄譚の恥部暗部も見せてくれるけれど、すべてがオブラートに包んだような表現だから人間ドラマとしては物足りないし、全編を通して淡々とした筆致だから冒険劇としても盛り上がりに欠ける。軍人として不遇な白瀬の功名心だけが動機の中途半端な探検に見えるけれど、国家を背負わない探検だったからこそ、さらには寄せ集めの隊員だったからこそ、スコットのような悲劇を招かずにすんだのかもしれないね。 (★★★☆☆)2021/01/14