内容説明
物語の舞台は旧満洲国と朝鮮の国境の町安東だ。昭和二十年の日本の敗戦によって、激しい変化が探れる。国家権力を喪失した邦人社会はまるで羅針盤を壊された船のようであった。ソ連軍の進駐や、国共の対立と内戦の狭間で、日本人は事態の流れの確たる情報も掴めずに、霧の中を漂流するかのように、運命の悲劇に翻弄される。物語の主人公は戦後安東の地に居合わせた様々な日本人である。そして彼らが故国に辿り着く間の激動の日々が物語の主題だ。主軸となる話は郊外の三股流で霧の朝に日本人が双方の陣営に巻き込まれて戦う国共間の武力衝突であり、まさに戦後の安東の情勢を象徴する事件であった。
著者等紹介
池田昌之[イケダマサユキ]
1959年(昭和34年)東京大学法学部卒。(株)三菱銀行入行。1988年(昭和63年)三菱銀行取締役営業企画部長。1990年(平成2年)テルモ常務取締役営業本部長。1992年(平成4年)DCカード取締役副社長。1996年(平成8年)日本格付投資情報センター代表取締役副社長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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