内容説明
動かない車の中で、「あ、ブレーキ踏んでる!」は車内の誰でも言える。「あ、ブレーキ踏んでた!」は運転手にしか言えない。この運転手の「特権性」はどこから、どのように生じるのか?社会学・哲学のコミュニケーション観の根底を問い直す。
目次
序論 この論文集ができたわけ
ヒト以外の動物に「権利」はあるか
バカ語話者にみられる発話の借用―「発話の権利」は普遍なのか
再現行為とコ系指示語の「いま」性―自身の再現を指し示す権利
自分に属することを話す権利の主張と交渉―会話分析の視点から
ビジネスミーティングにみられるユーモアから発話の権利を考える
維持されるものとしての発話の権利―クライアントの意向を尊重もしくは利用する
「発話の権利」とはどういう現象か
著者等紹介
定延利之[サダノブトシユキ]
京都大学大学院文学研究科教授・神戸大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふうふう
3
★★★★☆チンパンジーの肉食、繰り返しが異常に多いバカ・ピグミーの会話、コンサルタントがやってないこと、職場談話に見られるユーモア、担当という権利。おもしろい論文がぎゅぎゅっとつまった良書です。2023/06/14
こたろう
0
会話における発話者が持つ特性について知れると思ったら、そうじゃなかった本。帯に書いてあるような例の分析が続くのかたと思ったらそうじゃなくて、編者の呼びかけに応じた研究者の方の論文集というものだった。人間の発話どころかチンパンジーの行動から、ビジネス会話の分析まで、内容に一貫性がないため、会話分析の専門家なら部分的に得るものがあるだろうが、そうじゃないと雑学が増える程度の内容だと思った。あまりに難しすぎるし、専門家にとっても先端的な内容なんだと思った。一番興味深かったのは、バカ語の話。2021/07/20