内容説明
新聞、映画、文学、演劇、マンガ、カストリ雑誌、探偵小説、メロドラマ、消去される都市―“ヤミ市”を起点に広がった文化と表象を多角的に考察する。
目次
1 シンポジウム(戦後池袋の検証―ヤミ市から自由文化都市へ)
2 都市とメディア(都市としての闇市;民衆駅の誕生―国鉄駅舎の戦災復興と駅ビル開発;読売新聞による「新宿浄化」キャンペーン―ヤミ市解体へのエール)
3 ヤミ市の表象(敗戦後日本のヘテロトピア―映画の中のヤミ市をめぐって;小説テキストにおける闇市・闇屋の表象;石川淳「焼跡のイエス」から手塚治、梶原一騎、王金太「ReMember」―戦後マンガにおける闇市の表象分析)
4 風俗と表現(占領期東京の小劇場・軽演劇・ストリップ―秦豊吉と東郷青児の邂逅;占領期のカストリ雑誌における原爆の表象;昭和二〇年代の探偵小説―『宝石』の作家たちと新宿;映画『君の名は』(一九五三~一九五四)論―戦後的メロドラマの通俗性と感傷性)
著者等紹介
井川充雄[イカワミツオ]
1965年、東京都生まれ。立教大学教授。メディア史
石川巧[イシカワタクミ]
1963年、秋田県生まれ。立教大学教授。日本近代文学・文化
中村秀之[ナカムラヒデユキ]
1955年、静岡県生まれ。立教大学教授。映画研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bapaksejahtera
12
書題の通り、終戦後の東京の変貌や文化や風俗に現れた闇市のあれこれを述べる。前半は立教大学絡みの研究者らによるシンポジウム収録があり、続いて上野本郷から山手線沿いに四谷新宿に至る東京北半部に、遅れて登場した盛り場池袋の展開を述べる。大いに興味深かったし、カストリ雑誌や小劇場軽演劇ストリップ、ラジオドラマ映画における「君の名」論は該知識のアップデートという意味で貴重な読書となった。戦後推理小説の育ての親である江戸川乱歩と彼の許に集まる池袋文化人記述は良かったが、内容は次第に闇市を離れ、テーマ拡散の印象が残る。2025/10/10
アメヲトコ
6
戦後の闇市とその文化について、都市史・メディア史・文学のそれぞれの立場から論じた一冊。前半の実態に即した分析はかっちりとして面白かったのですが、後半の表象文化論になると議論が軽くなり、終盤に至ってはもはや闇市関係なくなるという、何とも竜頭蛇尾な印象でした。2017/03/17
dungeonn
3
★3 興味あるところだけつまみ読み。全体の1/4くらいかな?寅さん読本の川本三郎さんが書いていたので興味を持って。 序盤のシンポジウム、戦後池袋の検証はとてもおもしろく読めました。 複数の作家さんからなる本なので、読みやすいひと、読みにくい人の差が激しい。 ちなみに力道山、大山倍達、ともに日本人でなかったのを知らなかったので、ビックリ! サザエさんたちも闇市に行ってたんやなあ!2024/05/09
塩崎ツトム
3
埼玉県民の盛り場、池袋の話とか、民衆駅の話とか、カストリ雑誌のこととか……。2017/05/27




