内容説明
千年の時を超え、世界最高の文学と称えられる『源氏物語』。不遇な学者の女から中宮彰子への出仕に至った作者・紫式部の生涯を追い、物語執筆の謎に迫る。平安京や須磨・明石、宇治を訪ね、物語の舞台に想いを馳せる。
目次
王朝の文化サロンと中宮彰子の後宮(後宮とは何か;「国風文化」について;一条天皇後宮の推移;彰子サロンの空気;後宮への眼差し)
1 紫式部の履歴書(家系と生い立ち;少女時代;源氏物語の執筆;中宮彰子への出仕;三条朝の紫式部と晩年)
2 源氏物語の構想(『源氏物語』の構想;『源氏物語』の構成)
3 源氏物語をあるく(紫式部の遺跡;源氏物語の風景)
著者等紹介
倉本一宏[クラモトカズヒロ]
1958年三重県津市生まれ。1989年東京大学大学院人文科学研究科国史学専攻課程博士課程単位修得退学。1997年博士(文学、東京大学)。現在、国際日本文化研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪
34
紫式部自身の伝記と「源氏物語」紀行をスマートにまとめた一冊。ついこの間児童書でも書いてあった彰子と実資の橋渡しになった話は気の毒に思えた。特別な女房はつらいものだったのでしょうね。2017/07/08
Isamash
23
国際日本文化研究センター教授の倉本一宏2014年発行著書。紫式部の生涯の詳細は殆ど分かっていないことを初めて知った。まあ、不遇な学者の娘で、一度結婚経験があることと、藤原道長の娘で一条天皇の皇后彰子付きの女官として後宮に仕えた経験があることは確かな様。ただ源氏物語の執筆動機や執筆時期も不明らしい。著者の仮説だが、スポンサーは道長と読む。物語の大好きな一条天皇の関心を呼び、少しでも多く彰子の元に天皇が通ってくれ、世継ぎが生まれてくれたらという思いからと。また、かなり初期に物語の基本骨格ができていたと考察 2023/08/13
紫草
10
文学者ではなく歴史学者の倉本先生の、紫式部と「源氏物語」。紫式部の生没年など、文学者の説には色々異議ありなようです。確かに「源氏物語」とか「紫式部日記」などの作品だけからそれらを推定するのは無理があるのかもしれない。その辺は、歴史学者のやり方も必要なのでしょうね。後半、「源氏物語」の各巻はこの辺りで起こったであろうという場所の比定、そしてすべての場所に倉本先生自ら行ってご自分で撮った写真を載せてくれてます。すごい。この本を持ってこの場所を回りたいなあ。2021/05/05
るるぴん
3
3部構成。紫式部の履歴、源氏物語、ゆかりの場所解説。大河ドラマはこの書籍の内容と近いものになっている。藤原道長と紫式部の関係性はフィクションかも?が、恋愛関係あったとする方が説得力あるような気もする。漢文とか昔の和歌の知識と記憶があってこその、短い和歌の交わし文が機知に富んでいて知的で洒落てる。女性が自由に活躍出来ていて、男女関係も緩く、皇族は皇統と権力守るために近親婚が多かったんだなー、欧州と同じく。第3部の京都縁の地解説をテーマに旅行するのも楽しそうだな、と思った。2024/09/14
ユキタ
2
図書館。だいたい既知の内容が主だが、カラーで読みやすい。紫式部日記はほとんど読んだことがなかったので興味深く読んだ。大河でも実資の馴染みの取次女房が紫式部だったらいいな。2024/07/10