目次
1 トルコ人ほど親切な人たちも珍しい
2 トルコのもう一つの顔
3 言語と民族の「るつぼ」
4 デルスィム地方
5 Y氏との旅
6 「トルコに移住しませんか」
7 トルコ政府の「許可」を得て
ラズ語辞書刊行のご協力へのお願い
著者等紹介
小島剛一[コジマゴウイチ]
1946年、秋田県生まれ。1968年以来フランス在住。1973年以来、フランス人向けの日本語教育にも携わっている。1978年、ストラスブール大学人文学部で博士号取得。専攻は言語学と民族学。1986年9月、トルコ共和国で少数民族言語臨地調査のための「研究調査ビザ」を所持していたにも拘わらず国外退去勧告を受ける。その後、四度に亘って空き巣被害を受けるが盗まれたものは何も無し。この時以来、身の安全のため、住所や勤務先は非公表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
makimakimasa
12
「ひろゆきを論破」のネットニュースで久々に著者の名を目にして。「行く・来る」を「いく・くる」に涙を呑んで書き換え、過激な表現や言い切りを穏当で控えめに改めさせられた等、興味深い裏事情公開。なぜ「御用学者」が禁句か不明だが、激昂した文章や「馬鹿」「死ななきゃ治らない病気」は品位に欠け全体の説得力も霞みそうだから、訂正は正解かも。俯瞰した視点を持たせた本にしたい編集部と、あくまで個人的感情を躊躇なく出したい著者のせめぎ合い。当時は無名の駆け出しにて仕方なく受け入れたというが、今でも全く納得してないのが面白い。2021/10/02
micamidica
11
以前、中公新書の『トルコのもう一つの顔』を読んだときには刊行されていなかった本書。中公新書の編集者からの指示で削った、あるいは修正した箇所を、新書版と並べて注釈とともに呈示しています。しぶしぶ受け入れた小島氏の怒りが伝わってくる笑。編集者の気持ちもわからんではないし、新書版でじゅうぶんトルコ政府のいかれっぷりは伝わってくるので、この補遺編は買うほどじゃなかったかな。でももし、この売上げでラズ語辞書の出版に少しでも役立つなら、買って良かったと思う。巻末のラズ語の簡単な解説がおもしろい!動詞前辞が特に。2017/06/05
Kumo
5
「補遺編」という題名は単なる比喩だと思っていたが、中公新書版と本人の草稿の異同を詳細に比較・解説した、贅沢な正誤表のようなものだった。当然『トルコのもう一つの顔』が手元にないとちんぷんかんぷんだが、件の書を愛読した身としては結構楽しめた。小島氏の激情を新書向けに抑えた中公新書の労を称えつつ、確かに小島氏が言葉狩りと揶揄するだけのことはあったな、とも感じた。2017/02/18
tbtmtk
3
タイトルの通りだが、著者の最初の書籍をより本人の意思に近いものに補うために出されたもの。 圧倒的な熱量に追い立てられるようにして、『トルコのもう一つの顔』『漂流するトルコ』を読んだが、それらが発行されるまでの経緯や氏の強い思いが伝わってきておもしろかった。 すごい人がいるものだ。2018/06/19
牛タン
3
内容:『トルコのもう一つの顔』からの引用、引用部分の草稿、著者の注釈が併記されたもの。「過激」な表現や「激昂する文章」が編集の段において削られていった経緯が語られる。 感想:『もう一つの顔』が多く読まれ、トルコの当時の実態も広く知られ、しかも肝心のトルコ政府の態度も以前に比して遥かに良くなったにもかかわらず、わざわざこんな本出すなんて自分大好き、自分語り大好きなんだなと思って少し寒くなった。まあ楽しく読めたのでいいんだけど。あとGokceadaが「トルコ化」された島だったのは知らなかったので勉強になった2016/11/03