出版社内容情報
従来の文研究においては、文が時間の流れの中で産出されるという視点が弱い(文頭発話時と文末発話時の時間差がないかのように分析される)。実際には、書き言葉であれモノローグであれ会話であれ、文は時間の経過の中で産出される。文頭発話時の「意図」や「計画」が文末発話時までに不変であるという保証はないし、会話においてはそのあいだに聞き手からのさまざまな反応が介在しうる。文や発話が、時間の流れの中で産出されることによって一音一音、一語一語開示されていく「進行性」を持つことを直視した場合、従来の文研究にはどのような限界があるか、従来の文研究で捉えきれないどんな現象が視野に入るか、これらのことを考えた論文を収録する。
伝康晴 トラブル予告装置としての非語彙的要素/片桐恭弘・坊農真弓 対面発話における発話と視線のモニター機能と調整表示機能/野田尚史 時間の経過から生まれる破格文/大野剛・岩崎勝一 「即時文」・「否即時文」-言語学の方法論と既成概念/榎本美香 発話末要素による逆行投射(retrojection)的完結点表示/高梨克也・丸山岳彦 日本語話しことばに見られる高次の非流暢現象と線状化問題-挿入構造の位置と機能の分析を中心に/高梨克也 進行中の文に対する聞き手の漸進的文予測のメカニズムの解明/丸山岳彦 デスネ考
目次
時間の経過から生まれる破格文
デスネ考
自発的な話し言葉に見られる挿入構造と線状化問題
発話冒頭付近での語句の繰り返しの機能
「即時文」・「非即時文」―言語学の方法論と既成概念
進行中の文に対する聞き手の漸進的文予測のメカニズムの解明
発話末要素の認知と相互作用上の位置づけ
対面会話における発話と視線のモニター機能と調整機能
著者等紹介
串田秀也[クシダシュウヤ]
大阪教育大学
定延利之[サダノブトシユキ]
神戸大学
伝康晴[デンヤスハル]
千葉大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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