ハルキ・ホラー文庫<br> メルキオールの惨劇

ハルキ・ホラー文庫
メルキオールの惨劇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 293p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784894567436
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

人の不幸をコレクションする男の依頼を受けた「俺」は、自分の子供の首を切断した女の調査に赴く。懲役を終えて、残された二人の息子と暮らすその女に近づいた「俺」は、その家族の異様さに目をみはる。いまだに発見されていない子供の頭蓋骨、二人の息子の隠された秘密、メルキオールの謎…。そこには、もはや後戻りのきかない闇が黒々と口をあけて待っていた。ホラー小説の歴史を変える傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

315
野放図な展開で、主題が難解なのか全てが無意味なのか良く理解出来ないまま読み終えてしまった。短編と比較して、やや間延びする感じもあり、カタストロフィも薄い。世界観や文体は好きだが、娯楽よりも純文学に傾いており、読後感も独特。しかし、語られきらない主人公の背景や、唐突に出てくる猿の手等々、やっぱり本当は何も考えずに頁を消化しただけなのではないかという疑いも捨てきれず、そこら辺もらしいと言えばらしい。美和の存在感が微妙で、短い物語の中でポジションを確立していない点と、ラストに姿を見せなかった点も少し残念。2017/01/24

眠る山猫屋

64
再読にして【日本の夏は、やっぱり怪談】参加作品。狂気の血脈に産まれついた兄弟と、その家族から喪われたピースを得るべく現れた男〈12〉。抱えている罪(殺した人数)では飛び抜けている〈12〉だが、彼と絆を結ぶ朔太郎の狂気と背面な純朴さが眩しかった。一番狂った行動原理を抱えた彼だが、一番まともに見えてしまう不思議。ある年齢で天才的明晰さを失う血筋という業を切り抜けようとした弟・礫の老獪さは気になったが、朔太郎=メルキオールの献身が物語にカラッとした空気を添えて終わっていく。グロいのに明るい、平山さんの真骨頂。2021/07/15

カナン

64
残酷で悪趣味で醜悪。それなのに哀切に満ちて、崇高なまでに純粋で端正。まるで真逆の要素がコインの裏と表のようにぴったりと収まっている。白痴の巨漢が犬を振り回しながら現れるという強烈な幕開けから、インテリジェンスで人間味に溢れた各々のやり取り、人の持つ闇の深さも愛の深さも容赦なく描写していく平山氏の筆力は流石としか云いようが無い。最後まで一気に読み終えた後はある種の爽快感すら味わい、愛しくさえ思う。人の不幸を愛する者、人を殺める者、正気でない者、天才として生まれた者、幸福を知っているのは、果たして誰だろうか。2014/11/15

Bugsy Malone

62
平山さんは良い。登場する人物は異常性格の主人公を始め、どうしようもない、天才、白痴、いい女、お巡り。ホラーと謳ってはいるが、これは平山夢明版「長いお別れ」ではないのかと思わされてしまう。救いの無い話を、救われたような読後感にしてしまうのは、やはり異端者への愛情のなせる技なのだろうか。2015/08/04

澤水月

59
無垢の祈り映画化情報コメに。冒頭巨漢の犬回しからラスト哀切だがカラッとした無国籍雰囲気大好き。少女が「沈んでいく」「ゆっくり死んでいく」場面、残虐の果ての詩情何度も読み返したし突然のキスも終盤緊迫感も。驚くのは本作には後の作者の主題やモチーフ詰まっていること…ダイナーの美食料理・ブルドッグ噛み合わせ・超高級品(馳夜光虫的、本書さらり)、枷の顕現的な数字・徴の殺人での現れ→怪物のような…の数学。濃いし泣ける。『おろち』「姉妹」に想を得たそうby06読売。大衆文学より根は純文、詩人とすら思える…イイ若書き(続2014/08/29

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