出版社内容情報
「ジュリエット・ポエット」-寺山修司自らが名づけた、散文詩とも童話ともつかない不思議な作品の数々。人間が次々と鳥に変身してしまう『壜の中の鳥』、魔法の消しゴムで恋敵を次々と消していく『消しゴム』、十年後の姿を映し出す写真機を描いた『まぼろしのルミナ』……抒情と幻想がシュールに溶け合った、鮮やかな十二篇を収録した、ジュリエット・ポエットの代表的作品集。 (解説・角田光代)
内容説明
「ジュリエット・ポエット」―寺山修司自らが名づけた、散文詩とも童話ともつかない不思議な作品の数々。人間が次々と鳥に変身してしまう『壜の中の鳥』、魔法の消しゴムで恋敵を次々と消していく『消しゴム』、10年後の姿を映し出す写真機を描いた『まぼろしのルミナ』…抒情と幻想がシュールに溶け合った、鮮やかな12篇を収録した、ジュリエット・ポエットの代表的作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさ
23
童話と詩とが組み合わさったような作品たち。「ジュリエット・ポエット」というのだそう。必ずしもハッピーエンドというわけではなく、やるせないものも多いのだけど、そんな部分も含めて余韻を楽しめる1冊でした。2020/05/03
a子
15
むかーし、ラジオでこの作品の朗読劇をやっていたそうで、母が録音してあったものを小学生の頃に聞いていました。この作品でハッピーエンドではない作品の面白さを知った気がします。鋭く洒落た言葉の選択が心を掴んで離さない。そしてスパンと終わる物語。戸惑う読者に向かって、さあ、ここからあなたの物語、これはその序章です、とバトンを託される。戸惑いながら本を閉じるとそこは、めくるめく余韻の渦。私の宝物のような1冊です。2020/06/01
芍薬
12
“土曜夫人”や“抽籤きの紳士”に“猫のけむり”なんて素敵なネーミング!安っぽいハッピーエンドなんかで終わらない所も素敵です。2013/03/05
鮎
10
ポエットは短歌・詩・写真と同じくらい好きな寺山ジャンル。なので、選集よりも全集がよかったなあ(´・ω・`) 収録分では「かくれんぼの塔」がお気に入り。角田光代さんの解説ではやたらと悪意という言葉が多用されていたけど(逆説含め)、これは寺山らしい悪戯心のある挑戦と期待ではないかと私には思える。あからさまに結末を読者に託すやりかたは、未完の美とは別のものだよ。寺山は、ここから生まれる読者の物語に期待したかったんじゃないのかな。それこそ「書を捨てよ、町へ出よう」というふうに。2014/01/07
のせ*まり
9
寺山修司との出会いは衝撃的だった。大学で短歌を専攻していたとき、こんなに少ない言葉で映画のようなストーリーを作れることに奮えた。この短編を読んで、あのときなぜあんなに引かれたのかわかった気がする。未完成の美とそれゆえの孤独が そうさせたのだと思う。孤独だけど自由。そんな作品集2016/09/23