内容説明
時は四十世紀の未来。その高度な科学をもってしても治療不可能な難病に苦しむ友人・カズミ。実は江戸時代から連れられてきたという彼の病因を調べるため、天保年間の江戸へと向かった「僕」が知った意外な事実とは?(時の顔)―時間と空間を超えて縦横無尽に駆けめぐるタイム・トラベルの特性と魅力をあますところなく生かしきった、時間SFの名篇11篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
亮人
18
小松左京の時間SF作品集。全ての短篇が読み応え充分でベスト級。ロジック系の「時の顔」から歴史改変の「地には平和を」まで時間SFの中心をシッカリと押さえたかと思うと、不老長寿やウラシマ効果またホラータッチなど変化球の時間SFもあり、あらゆるシチュエーションが考え尽くされている。また時間SFを題材にすることによって、文化の衝突や文明論を浮かび上がらせ考察する筆運びは、小松左京ならでは。さすが!2015/01/28
ネムル
13
小松左京の時間SF集。「100分de名著」の流れで、「地には平和を」を読みたく手に取る。とはいえ、表題作のような意外性を凝らした時間ものはどうも古びやすい印象ばかりで、あまり面白いと感じない。ただし番組で紹介されていたような、小松の保守的な思想傾向や戦後日本への違和感が諸短編でちらほら見えるのが面白い。小松左京がありなら、案外「100分de山田風太郎」とかいけるんじゃないか。集中では「骨」「比丘尼の死」あたりが好き。2019/08/10
Tadashi_N
7
歴史が選べたら大変だ。2014/08/02
unya
3
タイムトラベルもの。たのしめました。2015/07/16
チクタクマン
1
短編集ではあるが、なにか長大な長編小説を読み切ったように感じさせるボリュームであった。それは、単にページ数の多さからではなく、こちらの想像する遥か上をいく設定や結末がそう感じさせるのだろう。時間SFが好きな人には、ぜひ手に取って欲しい一冊である。2019/05/12