出版社内容情報
人殺しの大罪を犯したような極悪人は宗教的に救われるのか。救われる条件は何か。親鸞自身の思索の展開をたどり、引用経典の丁寧な読み解きとともに親鸞宗教思想の核心を浮き彫りに。親鸞理解の新地平を拓く刺激的な考察。
内容説明
人殺しの大罪を犯したような極悪人は宗教的に救われるのか。救われるための条件は何か。親鸞自身の苦しみと思索の展開をたどりつつ、引用経典の丁寧な読み解きとともに親鸞宗教思想の核心を浮彫りに。歴史的洞察や史料論的解釈、比較論的考察を交えながら、宗教思想史に屹立する親鸞をその自然な思想的相貌において捉え、平易に叙述する。
目次
第1章 総序―主題と目標
第2章 依拠すべき原点と念仏―「教」から「行」へ
第3章 難問に苦悩する親鸞―「信」1
第4章 見過されてきた不幸な事実―「信」2
第5章 未解決の課題―「証」から「真仏土」へ
第6章 幻想の浄土―「化身土」
第7章 葛藤と自覚―「化身土」から「後序」へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
76
教行新証については読んだことがないので、この本をよんでそのうちに本体にとりかかろうかと思います。歎異抄はよんでいますが、かなり歯ごたえが違う気がします。。山折先生はそこのところを比較的分かりやすく説明してくれているので、普通の仏教解説書とは異なっていて楽しく読めます。ただかなり好き嫌いがでるのかもしれません。本当に仏教を勉強しようという方には不満が残るかも知れません。2015/10/13
Gotoran
55
難解な『教行信証』に対峙して50年、その途中で最終巻「化身土」にある「懺悔三品」を目にして鳥肌が立つような衝撃を受けたと云う宗教学者の著者が、70歳代で『教行信証を読む』ことを通して親鸞思想の核心に迫る。時代考証、史料等を引きながら、『教行信証』という表題の意味とは?総序の他に何故「信」巻にの序があるのか?父王を殺した悪人阿闍世の救済に拘った理由とは?「非僧非俗の愚禿」への拘りとは?・・恰も謎解きの如く、解釈・論考が進んでいく。非常に読み易く、概要が掴めた感あり。次は現代語訳を読んでみよう。2016/01/22
ホシ
12
「悪人往生の是非」に特化しながら、山折氏独自の視点から『教行信証』を読み解いていく。多くの知見を得られるが、文章にやや“癖“あり。山折氏が『教行信証』について「論ずる」のではなく「語る」感じ。山折氏のフィルターを通して『教行信証』を読んだ気分だ。とはいえ、改めて親鸞が第十八願の除外規定問題に真摯に取り組んだ有様を知る。末法のただ中にあって仏道を歩む者としての覚悟と決意を、熱く記す親鸞の姿が『教行信証』からは浮かび上がってくるに違いない。私も原書にあたって、その姿をいつか切実に味わってみたいものだ。2017/09/03
moonanddai
9
「教行信証」のアウトラインについて見えかけてきたような気がします。教行信証は、いわば「悪人正機」を理論武装しようとするものでしょう。「大無量寿経」で除外された「極重悪人」も救われるべきである、と考える親鸞の心をつかんだキーワードは「懺悔」と「善知識(指導者)」。これにより悪人が救われる、というより「これがないと」悪人は救われない、ということなのかもしれません。これはいわゆる「本願ぼこり」つまり阿弥陀如来へ「甘え」という考え方があった時代に対する一つの「答え」なのだと思います。2018/07/25
かず
9
章を進むごとに原典(教)、実践(行)、信心(信)、悟り(証)について親鸞の主張を読み解いていきます。師の法然に専修念仏を選択させる契機となった無量寿経において、救われない身とされた五逆(母殺し、父殺し、聖者殺し、仏の身体の毀損、教団の破壊)と誹謗正法(仏法を誹謗する)の者たちがいかにして救われるのか、ということを、観無量寿経に出てくるアジャセ王の父殺しを題材に、大般涅槃経も引用しながら検証していることをつぶさに解説しています。五逆誹謗の徒が救われるには「良師を持つ」ことと「懺悔」が必要だそうです。 2016/05/23
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- 和書
- このマンガ恐るべし…!!