出版社内容情報
永禄三年（一五六〇）二月十四日未明、駿府において今川義元の旗本頭をつとめる小島弥右衛門の一家が屋敷で寝ているところを惨殺された。さらに多賀宗十郎、三十歳も屋敷で襲われたが、何者かがもたらした文に救われた。三月初旬今川家の花見が行われている最中、山口三郎兵衛の一党に、花見から戻った義元が人質にされる。義元を人質にした三郎兵衛たちは、宗十郎の客人の湯浅加兵衛だった。織田家に雇われた忍びである加兵衛（本名山路加兵衛）は、大功により義元と対面したおりに目くらましをかけた。五月、尾張併合を目的に義元は駿府を出陣。加兵衛の目くらましは尾張桶狭間で効力を発揮、義元は討ち死。この義元の死に至るすべての筋書きは、信長の寵臣、簗田弥次右兵衛門の策によるものだった。家臣、そして小林村から連れていった百姓全員を失った宗十郎は一人駿府に帰ってきた。
内容説明
戦闘シーンは迫力に満ち、構成も巧妙である。確率に賭けた壮大な陥穽、司馬遼太郎『梟の城』に匹敵する大長篇１４００枚。第一回角川春樹小説賞特別賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わたしは元気
4
面白かった。ドキドキしながら、読みました。2021/12/14
フックン
1
時は桶狭間の前。信長の元に梁田広正とその部下の男が控えている。義元を殺すだけでなく、配下の有能な武将たちも始末しろという信長の無理難題。男は難しい役目だと言うが嬉しそう。男は信長に魅入られ、なしとげる自信にあふれていた。 このような感じで物語は始まり、惹き込まれました。主役は義元の旗本・多賀宗十郎。大きな陰謀に否応無く巻き込まれていきます。戦国時代＋陰謀＋アクション、映像が浮かびやすく（文節が短くよみやすい）、映画化しても面白いかと。ヒロインはちょっと弱いですが。下巻にも期待大です。2011/08/18
FK
0
今川と織田、そして武田もからんでの戦国模様を背景にした小説。基本的に は織田方から今川方に寝返った武将を義元が暗殺したことから始まる。もちろん義元が疑心暗鬼で殺させたわけだが、その背景には織田方の情報操作があったようだ。さて、その仇討ちという形とあわよくば敵将今川義元を暗殺できれば、ということで集団による殺戮戦が始まっていく。この剣戟もリアリティがあり、なかなかに残酷で凄まじいものがある。 2007/05/19
としえ
0
桶狭間の戦いを目前に控えた時期、信長側から義元暗殺を企む面々が、駿府へ送り込まれた。駿府の町では旗本頭の一家が、下僕も含めて惨殺されるという事件が起きる。次に狙われるのは自分かも知れないと思い当たる、義元の旗本で剣の遣い手でもある多賀宗十郎。宗十郎の幼馴染でもあり、恋人の兄でもある、目付の深瀬勘左衛門。狙われる宗十郎、じわりじわりと下手人に近づく勘左衛門、牢人だが凄腕の加兵衛、忍びの甚平と伝蔵、魅力ある登場人物のおかげで、どんどん話に引き込まれていく感じだ。2012/09/07
シロくますけ
0
途中で挫折。この作者のチャンバラものは臨場感があって好きなのだが、武将もの？は個人的にはイマイチ。2021/12/01
