出版社内容情報
ナチスに傾倒していく哲学者マルティン・ハイデガー。ユダヤ人として国を追われる思想家ハンナ・アーレント。運命は二人を引き裂いたはずだった……。
内容説明
ナチスに傾倒していく哲学者ハイデガー。ユダヤ人として国を追われる若きアーレント。運命は二人を引き裂いたはずだった…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
13
哲学者マルティン・ハイデガーと恋人ハンナ・アーレント、ハイデガーの妻エルフリーデの評伝的小説。サブタイトル「マルティンとハンナ」とあるが、むしろ「ハンナとエルフリーデ、そしてマルティン」の物語といった感か。結局、最後までマルティンの心の中は見えてこない。偉大なる哲学者は、その私生活と恋愛においても謎のままだ。しかし、小説(フィクション)とは言え、この作品を通じて、マルティン・ハイデガーの横顔がほんの一瞬でも見えたような気がしただけでも読んだ甲斐があったのかもしれない。 2013/05/18
Mana
2
ハンナ・アーレントとマルティン・ハイデガーの恋愛小説。戦後、病気のハイデガーを訪ねてきたハンナと、ハイデガーの妻エルフリーデの対話で話が進む。ユダヤ人への虐殺を知っていたのか、ユダヤ人への差別の気持ちはあったのか、エルフリーデを批判するアーレントにも西欧ユダヤ人として東欧ユダヤ人への偏見があるのではないか、人間の無意識・無自覚なかなかところを暴き出そうとする小説だと感じた。2018/06/10
Cinejazz
0
ナチ党に共鳴した大学教授とユダヤ人学生との出会と恋愛、別離と再会、そして最後の別れまでの五十数年間をオムニバス風に綴る事実に沿った物語です。 哲学史上高名なマルティン・ハイデガ-とハンナ・ア-レントの苦悩の生涯を垣間見ることのできる稀有な小説です。 戦後の非ナチ化の中で沈黙を守るハイデカ-とその妻エルフリ-デ、アイヒマン裁判とシオニスト運動後のイスラエルについてのハンナの思想に関心が深まりました。2018/03/14