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出版社内容情報
マルーハ・パチョンとアルベルト・ビヤミサル夫妻は、一九九三年の十月、六か月におよぶ彼女の誘拐中の経験と、彼女を解放させるまでに夫がたどった経緯を本にまとめたらどうかと私のところに話をもちかけてきた。草稿がかなりできあがった段階で、私たちは、彼女の事件と、同時期にコロンビア国内で起きていた他九件の誘拐事件とを切り離して扱うわけにはいかないのに気づいた。本当のところ、これは別個の誘拐事件が十件平行して起こっていたのではなく――最初はそう思われていたのだが――、きわめて巧妙に選ばれた十人の人間がひとつの集団として、ひとつの誘拐団によって、たったひとつの目的のために誘拐された事件だったのだ。
内容説明
政府・マスコミの要人を狙った連続誘拐事件を繋ぐ一本の糸とは?ノーベル賞作家の著者が、綿密な取材をもとに現代コロンビア社会の暗部を鋭くえぐる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
79
彼は、『エル・エスペクタドール』紙の記者の経験がある。カストロとの親交も長く続いたり、政治への関心も深かった。但し、「自身は「小説家の任務は優れた小説を書くこと」として、政治の舞台には一度も上がっていない」ようである。だが、本書ではコロンビア大統領を始め、政治家や役人、軍隊、警察、ジャーナリスト、文化人、一般庶民など、それぞれに生き生きと描かれている。2020/12/27
funuu
16
コロンビアとという国は、麻薬密輸組織が自国の政治に裏口から踏みこんでくるまで、世界の麻薬流通において自国が占めている重要性について無感覚だったアメリカで刑務所に入るくらいなら、コロンビアで墓に入ることを選ぶ。。アメリカは絶大な力を備えている。恐ろしい国だ。自由を与えるといっておいて、けっきょく我々を悲惨な目に会わせるだけだ。アメリカと反米な南米の雰囲気も伝わってくるガルシア マルケスのノンフィクション。2015/04/25
yooou
14
☆☆☆☆★ マルケス初挑戦です。してその初戦はノンフィクション。メデシン・カルテルの頭領パブロ・エスコバルによる誘拐事件の顛末を克明に追う本書は臨場感溢れる第一級の仕上がりでありました。2012/09/04
三平
13
貧しい若者たちが最も憧れる安定した職業は何?その答えが「麻薬密売組織の構成員」だった時代のコロンビアの話。ノーベル賞を受賞した小説家ガルシア・マルケスによるノンフィクションである。政府が治安改善の為にアメリカを利用し犯罪者を取締り、麻薬カルテルはジャーナリストたちを次々と誘拐し政府を脅して有利な条件で身柄の安全を保障してもらおうとする。死の恐怖に怯えつづける被害者、藁にもすがる想いで犯罪組織との交渉人を探す被害者家族。すべて当事者から取材をした実話で読む者を圧倒する。治安がいい国に住める幸せを実感。2014/06/08
tipsy
8
著者が誘拐された被害者に実際にインタビューしまとめたもの。それゆえ被害者とその家族が中心の話しとなる。スペイン語圏の名前は覚えずらく、油断すると誰が誰かわからなくなりがち。メモを取った方がすんなり読めるだろう。マルケスの生まれ育ったコロンビアか・・・。コロンビアがもつ問題点をえぐりだしていると感じた。耳を疑うような状況は全てが真実であり、普通の仕事につくより、犯罪者になる方が安定した暮らしが送れるという考えが蔓延している事が尚辛い。ガルシアマルケスだからこそのノンフィクション作品。 2017/06/28
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