内容説明
キングメーカー・ウォリック伯を父にもつ少女アン・ネヴィルはグロスター公リチャードとの間に淡い思いを通わせていた。だが、父と国王の不和をきっかけに、アンも激動の乱世の渦中に投げ込まれる―。同盟関係がめまぐるしく変転するばら戦争の進行を、敵味方に引き裂かされながらもリチャード三世と添い遂げ、イングランド王妃にまでなったアンの視点を通して描き出す。
著者等紹介
プレイディー,ジーン[プレイディー,ジーン][Plaidy,Jean]
本名エリナー・ヒバート(旧姓バーフォード)。1906年にロンドン近郊に生まれ、独学だが、父の影響で幼いころから大の読書好きとなる。1941年にロマンス作家としてブレイクし、その後、歴史小説だけでも50冊を超える作品を発表している。さまざまな筆名で数多くの作品があり、特にヴィクトリア・ホルトの筆名によるゴシックミステリーは有名。邦訳にはヴィクトリア・ホルト『七人目の乙女の伝説』(バベルプレス)ほかがある。1993年没
友清理士[トモキヨサトシ]
1967年に東京に生まれる。学生時代にバベル翻訳家養成講座・英語“基礎科”“本科”修了。1990年、東京大学理学部物理学科卒業。1992年、同大学院修士課程修了。株式会社研究社で辞書編集・電子辞書制作に携わったのち、特許事務所で特許翻訳に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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viola
4
どうしても読みたくって、千葉の大学から取り寄せました。 シェイクスピアの歴史劇『リチャード三世』(大好き!) は典型的悪役だけれど、実はそうではなかった・・・・・というのは、有名なお話。この戯曲の中でアンはエドワード王太使の未亡人なのに、彼を殺したリチャードがアンを巧みな手口で口説き・・・となっていますが、こちらはアン視点の小説で、リチャードとアンは最初から深く愛し合い、リチャードが善人として描かれています。 うーん、好きだ、こういうの。2010/05/26
さぼさん
3
シェイクスピアでの極悪人としてのリチャード三世しか知らなかったので,実直な人間として描かれた本書は新鮮でした.また,その違いを抜きにしてもアンを始めとした時代に翻弄された女性たちの物語としても非常に面白かったです.2010/06/13
lorca
2
リチャード三世の幼なじみでもあり、そして英国王妃にもなったなったキングメーカーウォリック伯の娘、アン・ネヴィルの視点から描かれた悪役ではないリチャード三世の物語。エドワード4世のふるまい、もう一人の兄クラレンス公ジョージの本当にあったことなのか分らないアン自身への策略など、リチャード三世以外の描かれかたも楽しめた。2012/11/30
Mana
2
この間森川久美さんのリチャード三世の漫画を読んだので借りてみた。シェイクスピアの影響で悪人として扱われているそうなのでよく扱ってる本を選んでみた。アンの視点で話が進んでなんとなく「ラウィーニア」に似ている。漫画のイメージと少しずれがある。リチャードの1人称が「俺」だったり。漫画よりも自己中で強欲に見える。エドワードの王妃(名前忘れた…)ももっと良い人だった。2011/03/26
ぽん
1
有名なシェイクスピアの『リチャード三世』とは違い、真面目で妻を愛する男として描かれている。 が…、ラストの息子を亡くしてから感じる王妃アンの不安と疑い。本当はどちらなのか、すっきりしないまま終わり、色々と考えさせられる。それがいい。2012/05/24