内容説明
戦争がもたらした日本人の心の傷は深い。戦後の経済成長は、心のゆとりを生み、多くの人が俳句を作るようになったわけだが、戦後俳句は、ただ単に美しいものや自然の移ろいを表現するのではなく、病いや死に対する苦悩を表現することで、自分史の域を超えて普遍的な感動を呼びおこす詩型として定着をみた。そんなエポックとなった俳句と戦争の激しくぶつかり合った時代と、その後の展開を検証する貴重な一書である。
目次
誰かものいへ―日本人は戦争をどう俳句で表現したか
戦争を詠んだ名句
広島からヒロシマへ―中国新聞に見る戦時下の俳句
新資料 大東亜戦争俳句集
俳句と原爆
「天皇俳句」の詠法
まぼろしの「京大俳句」終刊号の周辺―俳壇特高弾圧篇
私の戦争と平和
あの日を追う
現代俳人が詠んだ「戦争」の俳句
私の戦争体験
太平洋戦争下の暮らしの年表