出版社内容情報
著者:ゴア・ヴィダル/訳:本合 陽(静岡大学助教授)
・第二次世界大戦後まもないアメリカで、時代に先駆け発表された、同性愛の世界を描いた特筆すべき小説。本邦初訳の作品。
体裁: 四六判(188×128ミリ)・並製本・総270ページ
内容説明
アメリカ文学の知られざる豊饒!!戦後まもないアメリカで、時代に先駆けて同性愛の世界を描いた特筆すべき作品。本邦初訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんやん
9
1948年に刊行されたアメリカ最初のBLノベル。若書きで荒く、出来栄えはあまり良くない。訳のせいもあるかもしれないが、「蛙はゲロゲロ鳴き、虫はブンブンうなり、川はゴーゴーと音をたてていた」なんて文章は頂けない。悪評に晒されたのは、同性愛を描いたためだけではないのでは、と疑ってしまう。しかし、性遍歴小説であり、ロードノベルであり、ゲイの教養小説といった側面もある。ハリウッドやニューヨークのハイソサエティのゲイのコミュニティなんて興味深い。だから、タブロイド新聞並みなんてこきおろされたりしたのだろうが。2016/08/31
そのじつ
2
アメリカ初の同性愛文学…と紹介されて読んでみた。18歳で小説家として華々しいデビューを飾った後に発表した超問題作。1945年当時ホモセクシュアルについて赤裸々に書いたこの作品を出版すれば、作家生命は絶たれると忠告を受けたが、作者は信念に従って発表し、干された。この作品がその後の多くの作品に影響を与えたであろう事が読み取れる。17歳の夏の体験に捕われ、他の事に醒めた感覚しか持てないジムの大理石のごとき肌合いが印象的で夢中になった。2012/08/03
しゅ
1
読んだあとの辛さと言ったら2012/12/03
めっちー
1
同性愛の小説という事でしたが、あの時代にここまでおおっぴらに書いたというのがすごい。2010/10/28
Michika
0
原文で読んだけど読書メーターにはなかったので翻訳版で登録。パーティの場面で語られるアメリカのホモセクシャルの反体制的スタンスについての話がとても面白かった。ウィルのアティチュードはゴア・ヴィダルの思想そのままっぽい。まあ、ヴィダルはスポーツ好きの彼と生い立ちは全く異なる作家であり知識人なんだけど...。最後は心をズタズタにされた...そして青年期は終わりを迎える、ということか。本作は19歳で戦死した、ヴィダル曰く「自分が唯一愛した人」である男性に捧げられている(辛すぎ)2017/05/01