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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
94
パムクがイスタンブルの地政学上に描いた「東」と「西」、「わたし」と「師」のアイデンティティをめぐる物語。17世紀オスマン帝国の時代、海賊に囚われ奴隷となったヴェネツィア人の「わたし」が、自分そっくりの顔をしたオスマン帝国学究の「師」から西洋の学問を教えるように請われ、2人がお互いになり代わった暁には、奴隷からの解放を約束される。そして2人は15年を経て皇帝の筆頭占星官に登りつめる。そのときの「わたし」という人間は、いったい誰であるのか。訳者あとがきの〈他者によって溶解してゆく自己〉というのは、言い得て妙。2021/08/03
NAO
77
【2021年色に繋がる本読書会】トルコの船に捕らわれ奴隷となったイタリアの青年は、容姿がよく似たトルコ人学者に買われ、二人は互いの知識を共有。二人は、入れ替わって新たな人生を始める。作者が掲げるのは、「なぜ自分は自分なのか」という命題。あらゆる過去を語り合いつくした互いにそっくりな人間は、何をもって自分と相手を区別するのか、すべてを熟知すれば、自分と相手の区別はなくなってしまうのではないか、と。たとえ東洋と西洋の違いがあっても。だが、はたして、「自分という存在」は、そんな単純なものだろうか。 2021/02/27
ペグ
75
何ということ!「わたしの名は紅」で挫折し、今度こそは!と挑戦したにもかかわらず、何度頁をめくるもさっぱり心に入ってこないのは、自分の理解度の低さなのでしょうか〜平明な文章でプロットは理解するも、風の音、雨の雫、人いきれを感じず。オルハン・パムクに対しての憧れだけが空回りしています。2019/09/01
やまはるか
37
トルコの海賊船に襲われて奴隷として売られた先で対面した師は信じられないほど私に似ていた。「あたかも、そこにわたしがいるがごとしである」17世紀トルコを舞台にアラビアの物語を思わせる仕掛けで展開する。「人は唯一、夢の中でしか目にしえない」城は丘の頂にあって、天守は落日でうっすらと赤く染められ純白の旗がなびいている。城を攻める皇帝の軍隊に師とともに加わって、物語は仕掛によって大きく展開する。「自分とは何か」の問いを師とともに互いの人生を賭けて確かめようとする究極の物語である。2024/03/16
kasim
32
手ごわい読書だった。17世紀、オスマン帝国の奴隷となったヴェネツィアの青年が…という設定から勝手に期待したものとは裏腹に、ひたすら静かで息苦しく、「わたし」「師」「陛下」のほぼ三人だけの世界でアイデンティティが崩れていく、というか、そんなものもとから存在しないよねという感じ。語り手は物語の重要性を繰り返し語るけど、ペスト、政争、戦争といった題材も模糊として、言及される派手な物語内物語も描写は抑え説明だけ。「城」だけに淡いカフカという趣き。邦題は原題通りだが、「シロイシロ」という響きの回文ぽさがはまりすぎ。2026/05/20




