内容説明
中国という「脅威」をめぐる日本の社会科学の屈折。欧米社会科学の定着は、近代日本の世界認識から何を失わせたのか?田口卯吉、福澤諭吉から、福田徳三、河上肇、そして山田盛太郎、宇野弘蔵らに至るまで、その認織枠組みの変遷を「アジア」の位置付けという視点から追跡。東アジア地域のダイナミズムが見失われていった過程を検証する。
目次
序論
第1部 自由交易主義経済論の史的根拠―中国への対抗としての「脱亜」 一八六〇‐八〇年代(東京築港構想の射程―田口卯吉の自由貿易論;「脱亜論」の位相―福澤諭吉と田口卯吉)
第2部 「社会」問題の顕在化と社会政策論―動揺する中国・朝鮮認識 一八八〇‐一九二〇年代(異端の大正デモクラシー―福田徳三と吉野作造;もう一つの『貧乏物語』―河上肇の国民経済論)
第3部 社会科学を独占するマルクス主義―「大東亜」との邂逅 一九二〇‐四〇年代(覆された「小農」の範疇―山田盛太郎の日中農業比較研究;戦後「社会科学」論の深層―宇野弘蔵と内田義彦)
結論
著者等紹介
武藤秀太郎[ムトウシュウタロウ]
1974年東京都生まれ。早稲田大学経済学研究科修士課程卒業。総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程卒業。2005‐8年、日本学術振興会特別研究員(PD)。学術博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。