感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shin
11
気鋭のイスラーム学者が、イスラームの歴史とその課題の本質を鮮明に描き出す。本来ムハンマドが説いたのは、異教徒にも敬意を払う寛容で柔軟な社会改革運動だったことがわかる。それがあらゆる宗教の常である党派抗争と神学論争、そして政治との混淆により、いかにして現代の自縄自縛に辿り着いてしまったのか。「今、ムスリム世界で起こっているのは、ムスリムのあいだの内部抗争であって、イスラーム対欧米という外部的な戦いではない」という指摘は、異論もあろうがイスラーム文明の命運をその尊厳に委ねるべきというメッセージとして心に響く。2012/03/18
neco
4
IS、タリバン、イラン・イラク戦争、アラブの春。イスラムに対するニュースは連日のように流れる。こんなニュースばかり目にすると、イスラム教は邪悪で血を好むものなのかと思ってしまっていた。私は、イスラム教について何一つ知らなかった。この本は、ムハンマドのイスラム教勃興期から、現代のイスラム教の動きまで、丁寧に教えてくれる。イスラム教は、本来、さまざまな宗教的背景を持つ者が共存できる、民主的・多元主義的なものなのだと著者は言う。イスラーム民主主義が確立し、平和が訪れることを祈ることしか私にはできない。2018/09/11
はむすけ
3
9.11とそれに続く戦争は一神教同士の衝突だと思ってたがイスラムの内部抗争だった。メディアを通したイスラム教は過激に映るが、本来は多元主義であった。それなのに民主主義が根付かないのは、空想を理想としている保守的で排他的な過激派の存在や、単なる宗教ではなく文明にまでなっているイスラムの文化(コミュニティの調和を重視)とそれに逆らう民主主義の要素(基本的人権の考えや政教分離)がすり合わされる段階を踏んでいないため。キリスト教における30年戦争を経てないだけ。是非自由に解釈しあい多元性を取り戻してほしい。天皇制2012/02/14
可兒
3
原題は「カミサマではなく唯一神を」といったところか。法学者に独占されてきたイスラーム法解釈を信徒それぞれが行えるようになった云々が主題なのだろうが、イランの記述が興味深い。文明の衝突論をふりかざすアメリカとの交渉を、国内事情であきらめてしまったイランで変質がおきつつある、というようにも思えた2010/07/24
メルセ・ひすい
2
※●野心的で凶暴な暴君である。地雷の数は人口より多い。膨大な鉱物資源を産出できるにもかかわらず、庶民の生活は、目を見張るばかりの悲惨さ。 等々のとおり、悪の大国つまり国連の常任理事国がそれぞれ、の国に軍事介入する以前の状態の方が生活の状況は平穏であった。2009/06/14