感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
The Mystery of Ministryを原題とする本書は、「王の家」と呼ばれた専制君主国家の世襲的生産様式から閣僚たちの分業的生産様式が中心の近代国家が「国家理性」を謳うに至った点に神秘を見出そうとする。というのも、著者以下6名の社会学者たちは、国家の最小化を謳う現代のグローバル世界も、新自由主義的な閣僚たちによる旧近代国家の新バージョンと見なしているようだからだ。ハビトゥスと界が闘争する力の場に国家を置くと、公益性を謳い法を制定する近代国家は公益自体を各省庁の私益とする神秘的な生産装置に見える。2024/06/12
壱萬参仟縁
4
行動する社会学者ブルデュー。2005年初出。「社会学は、歴史的布置構造の全領域にわたってハビトゥスと界の変化しつつある相互規定関係、連続体の一方の極での一致と相互的強化の状況から、他方の極における不一致と相互侵害に至る関係を再構成するために、両者の成立の発生的分析を手段としてそれぞれを把握」(11頁)。なかなか言い得て妙な表現である。ロイック・ヴァカン氏の論稿では、民主主義の時代における教育と支配(195頁~)が気になった。ハビトゥスは磁界が素粒子を導くように個人が外力に影響されない(200頁)との比喩。2013/04/18