内容説明
免疫学の世界的権威として、生命の本質に迫る仕事の最前線にいた最中、脳梗塞に倒れ、右半身麻痺と構音障害・嚥下障害を背負った多田富雄。水俣の地にとどまりつつ執筆を続け、この世の根源にある苦しみの彼方にほのかな明かりを見つめる石牟礼道子。生命、魂、芸術をめぐって、二人が初めて交わした往復書簡。
目次
第1信 受苦ということ
第2信 なふ、われは生き人か、死に人か
第3信 老人が生き延びる覚悟
第4信 いまわのきわの祈り
第5信 ユタの目と第三の目
第6信 いのちのあかり
第7信 自分を見つめる力・能の歌と舞の表現
第8信 花はいずこ
第9信 また来ん春
第10信 ゆたかな沈黙
著者等紹介
石牟礼道子[イシムレミチコ]
1927年、熊本県天草郡に生まれる。作家。『苦海浄土―わが水俣病』は、文明の病としての水俣病を鎮魂の文学として描き出した作品として絶賛された。第一回大宅壮一賞を与えられたが受賞辞退。1973年マグサイサイ賞受賞。1986年西日本文化賞受賞。1993年『十六夜橋』で紫式部文学賞受賞。2001年度朝日賞受賞。『はにかみの国 石牟礼道子全詩集』で二〇〇二年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞
多田富雄[タダトミオ]
1934年、茨城県結城市生まれ。東京大学名誉教授。専攻・免疫学。元・国際免疫学会連合会長。1959年千葉大学医学部卒業。同大学医学部教授、東京大学医学部教授を歴任。71年、免疫応答を調整するサプレッサー(抑制)T細訪を発見、野口英世記念医学賞、エミール・フォン・ベーリング賞、朝日賞など多数受賞。84年文化功労者。能に造詣が深く、舞台で小鼓を自ら打ち、また『無明の井』『望恨歌』『一石仙人』などの新作能を手がけている。2001年5月2日、出張先の金沢で脳梗塞に倒れ、右半身麻痺と仮性球麻痺の後遺症で構音障害、嚥下障害となる。著書に『免疫の意味論』(大佛次郎賞)『独酌余滴』(日本エッセイストクラブ賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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井月 奎(いづき けい)
寛生
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