出版社内容情報
『崩壊したソ連帝国』で10余年前にソ連邦の崩壊を予言したダンコース女史が、ロシアとは何か、についてその全貌を究明する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バルジ
6
著名なフランス人ロシア史家のロシア史概説。現在進行系で侵略を行う現代ロシアを想起しつつ読了。書名の「未完のロシア」は詩人プーシキンの言葉の一節であるが、著者いわく無限の進歩への可能性を信じた上での命名らしい。アレクサンドル2世に始まる近代ロシアの改革は寄り道をしながらも確実に「ヨーロッパ」の大国として発展するがレーニンの革命で近代どころか改革以前の暗黒期に近い状況まで戻されたと著者は言う。いわばロシア帝国の近代化路線を肯定的に評価する。しかし「未完のロシア」は現在その帝国時代へと回帰する皮肉な状況である。2022/08/22
sekaisi
1
今、タタール人はどこに?2020/08/29
ひろ
0
ソ連とロシアの関係ってそんな風に捉えられるのね、あの1917年へと向かうロシアの物語はそういう性格だったのね、といろいろ学びました。些かソ連嫌いなのかなと思うところがあって、ちょっと情緒的すぎる気配があるけど、それでもなお多くの人が習わないロシアの歴史をぐっと見られたことは評価したい。2016/01/18
\サッカリ~ン/
0
タイトル通り10世紀からソ連崩壊後のロシアまで、軌跡とルーツをロシア史とともに紐解き、ソ連崩壊に伴うイデオロギー主軸の感性からの脱却とロシアの原点をたどる。モンゴルによる統治に始まり、各ツァーリによる政策、そしてロシア史では外せない『領土問題』を主軸に、近代化を目指す後進国家のジレンマが描かれる。そこでの歴代指導者達は、自らの管理力を超えた「母なる大地」の広大さに良くも悪くも翻弄されながら奮闘する。巨大大陸国故の統治システムと歴史があり、日本史とは全く異なった民族としての生き残りを垣間見ることが出来る。2013/04/01