出版社内容情報
TBS外信部の中年男が日本人宇宙飛行士に。訓練、打上げ、帰還から、果てはジャーナリズム論にいたるまで知的興趣あふれる対話
内容説明
それはTBSのモスクワ支局からの一通のファクスではじまった。社内公募、ソ連での執拗なテストの果てに選ばれた日本人初の宇宙飛行士は、秋山豊寛、外信部デスク、46歳。このしたたかなジャーナリストの目がとらえた、ソ連という国、宇宙飛行士の住む「星の街」、訓練の内幕、そしてロケット発射、ドッキング、宇宙ステーション・ミールでの重力なき9日間。ときにはUFO、環境問題、ベトナム戦争にまで話が及んで興趣あふれるデブリーフィング(聴き取り)の記録。
目次
ジャーナリスト
プロジェクト
星の街
基礎訓練
実地訓練
出発
ドッキング
宇宙
帰還
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
入道雲
6
なぜもっと早く読まなかったかと。宇宙へ行って帰ってくる出来事を、これほど疑似体験出来る本ないのでは。今からすると30年以上前の宇宙開発の実態も興味深い。しかもソビエトの宇宙開発のことがリアルに分かるとは。立花隆のインタビュー力と、それが成功する為の取材や秋山さんとの人間関係構築など、立花隆の知の巨人ぶりが際立つ。 印象残ったのは、ミールから観た満月を「向こうのほうに太陽でないものが、皓々と照っている」のフレーズ。これはこの目で観てみたいと思った。2021/08/11
小倉あずき
1
1990年、日本人初の宇宙飛行士となったTBS社員秋山豊寛さんに『宇宙からの帰還』を書いた立花隆が聞き取り調査をしたもの。後書きで秋山さんが「特捜検事立花隆が、容疑者秋山豊寛から聴取するといった感じ」と書いているがその言葉通り本当にひとつ残らず聴き取ってやる!という立花さんの熱意を感じる。秋山さんも立花さんもどちらも食えないオジサンなのでやりとりがすごく面白いのだが、いかんせん長い。ソビエトを含め、組織論とかサラリーマン論としての側面もある一冊。読んでやった自分も褒めてあげたい537ページの旅でした。2024/09/09