内容説明
「発展」「コミュニケーション」「近代化」「情報」など、ブロックのように自由に組み合わせて、一見意味ありげな文を製造できることば。メディアの言説や政治家の発言、そして日常会話にまで侵入しているこのことばの不気味な蔓延を初めて指摘した話題の書、待望の邦訳刊行。
目次
第1章 東西世界のプラスチック・ワード
第2章 プラスチック・ワードは新たなことばのクラスをつくるのか?
第3章 新たな現実モデルの建築材としてのプラスチック・ワード
第4章 現実製造官としてのエキスパート
第5章 日常言語の数学化
付録 プラスチック・ワードの諸特徴
著者等紹介
ペルクゼン,ウヴェ[ペルクゼン,ウヴェ][P¨orksen,Uwe]
1935年生。作家、元フライブルク大学教授(言語学・古典文学)。1988年ヘルマン・ヘッセ賞、90年ドイツ言語賞受賞
糟谷啓介[カスヤケイスケ]
1955年生。一橋大学大学院言語社会研究科教授。一橋大学大学院社会学研究科博士課程退学。言語社会学・言語思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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読書という航海の本棚
感想・レビュー
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seichan
5
アイデンティティとかコミュニケーションとかシステムとかトレンドとか、「わかったようなわからんような」言葉が世界を席巻している、という指摘。それらはエキスパート(官僚や数学者や科学者)から発され、日常言語に侵食していき、社会が「実感のない言葉」に蝕まれていく。 日本語版に添えられた、著者と懇意な教授の指摘、「日本は明治維新で西洋概念を漢語まじりに訳した(社会、恋愛、国際的,etc,etc)……それらの単語もまたプラスチック・ワードじゃないの?」というのは考えさせられた。カタカナ語ばかりじゃないかも。 2019/10/14
takao
1
ふむ2024/10/27
抹茶ケーキ
1
科学言語から日常言語に輸入され、日常言語の豊饒性を侵食する「プラスチック・ワード」への批判。エキスパートたちはこのような言語を使用することによって自らの優越性を確保しようとしているという話も。科学言語と日常言語というものを実在化しているところが気になる。この二つは截然と区別できるものではなくて常に相互参照しあうものだと思うのだけど。あとエキスパートが意図的に不明確な言葉を使って国民を欺こうとしているみたいな話もあるけど、それはエキスパートの側の概念定義能力の不足が原因であって、意図的なものではないような。2015/12/03
ISBN vs ASIN vs OPAC
0
「」2013/11/21
とも
0
「発展」,「コミュニケーション」,「情報」など科学に源を持ちながら日常言語に入ってきた「プラスチック・ワード」。それらは自由にブロックのように組み合わされ,我々の言語活動を規定していく。原著が書かれたのはドイツ統一前だが,その現代性と先見性に感心する。最近の大学で行われている「改革」の中身は,プラスチック・ワードを適当に組み合わせたレゴ細工にすぎないと思った。日常言語に対する洞察を深めてくれる一冊。訳文も非常に質が高い。2009/05/09