歴史の詩学

ラクー＝ラバルト，フィリップ【著】〈Ｌａｃｏｕｅ‐Ｌａｂａｒｔｈｅ，Ｐｈｉｌｉｐｐｅ〉/藤本 一勇【訳】

藤原書店（2007/04発売）

• サイズ B6判／ページ数 214p／高さ 20cm
• 商品コード 9784894345683
• NDC分類 134.9
• Cコード C1010

出版社内容情報

ハイデガーが否認するルソーに「偉大なるドイツ哲学」の“起源”を探り、ハイデガーのテクネー論の暗黙の前提を顕わにする。

内容説明

ハイデガーは、ルソーの何を恐れたのか？ルソーが打ち立てる「ピュシス（自然）はテクネー（技術）の可能性の条件」という絶対的パラドクス。ハイデガーが否認するルソーに、歴史の発明、超越論的思考、否定性の思考という「偉大なドイツ哲学」（ハイデガー）の“起源”を探り、ハイデガーのテクネー論の暗黙の前提をも顕わにする。テクネーとピュシスをめぐる西洋哲学の最深部。

目次

１　起源の舞台（ルソーを否認するハイデガー；ルソーの存在‐技術論；ハイデガーはルソーの何を恐れたのか）
２　先行的演劇（ルソーの引き裂かれた核心；ルソーの弁証法；芝居がかる死）

著者等紹介

ラクー＝ラバルト，フィリップ［ラクーラバルト，フィリップ］［Ｌａｃｏｕｅ‐Ｌａｂａｒｔｈｅ，Ｐｈｉｌｉｐｐｅ］
１９４０年９月２６日、フランス・トゥール生。２００７年１月２７日の深夜から２８日の未明にかけてパリにて逝去。幼少期よりカルヴァン派の宗教教育を受ける。ボルドー大学にてジェラール・グラネルに師事し、ハイデガーを学ぶとともに、「社会主義か野蛮か」の活動を通じてリオタールらと親交をもつ。１９６７年よりストラスブール大学にて教鞭をとり（‐２００２）、同僚のナンシーとは生涯の友となる。１９８３‐９３年、カリフォルニア大学バークレー校客員教授、１９８８‐８９年、国際哲学研究院会長を務める。１９９５年「フリードリヒ・グンドルフ賞」受賞

藤本一勇［フジモトカズイサ］
１９６６年生まれ。パリ社会科学高等研究院深化学位（ＤＥＡ）「歴史と文明」取得。早稲田大学文学研究科博士課程単位取得満期退学。早稲田大学文化構想学部表象・メディア論系准教授。専攻、哲学（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[あかふく]

ハイデガーがヘルダーリンの注釈においてルソーを除名した事情からはじまる。ミメーシスと芸術作品の問題において、ハイデガーは焦っている。それはルソーと同じ視線を持ちながら、それが「衝突」するという事態への忌避からではないか。ルソーとハイデガーの演劇憎悪。自然状態もまた演劇であり、先行的演劇と考えられる。おそらく、マルジェルのルソー論から引けば「アルカイックな舞台」としての起源に関わっていて、政治的にはナンシーつながる。ミメーシスの主体=虚構の主体。

2013/04/06