内容説明
第2巻は理論的考察で構成される。これらは、長い捕虜生活と『地中海』の継続的な著述の中で確立された。『アナール』という挑発的な、まったき新しさの中にあった雑誌への長期にわたる投稿や、1937年のリュシアン・フェーヴルとの出会いも、理論的考察をさらに究めるのにあずかっている。1948年の高等研究院第6部門創設後は、「より大きな歴史のために」、『アナール』誌の闘いに加わることになる。本書収録の原稿は戦時中から晩年にまでおよぶ時期のもので、『地中海』、『物質文明・経済・資本主義』、『フランスのアイデンティティ』の三大著作と深く関わっており、その三大著作の予備的著述や未刊にとどまったいくつかのテクストである。
目次
第1部 世界の尺度としての歴史(三つの定義―出来事、偶然、社会;世界を探し求める歴史学;歴史地理学―社会、空間、時間)
第2部 最も大きな歴史に向かって(歴史経済学のために;歴史学の責任;歴史学と経済学―非連続の問題 ほか)
第3部 一つの著作が仕上がるまで(『地中海』以前;物質文明と資本主義をめぐって;未完の『フランス史』)
著者等紹介
ブローデル,フェルナン[ブローデル,フェルナン][Braudel,Fernand]
1902‐85年。ソルボンヌ大学卒業後、アルジェリアのリセ教師を経て、ソルボンヌ大学、サン・パウロ大学で教鞭をとったのち、『アナール』誌の編集に関与。1939年『地中海』執筆開始。捕虜生活中に記憶だけで『地中海』第一草稿を完成。帰国後、高等研究院第六部門創設にあたり事務局長に就任(のち委員長)。1949年『地中海』第一版自費出版(第二版1966年)、コレージュ・ド・フランス教授。リュシアン・フェーヴル歿後の1957年『アナール』編集責任者に。1962年、人間科学館創設。1984年、アカデミー・フランセーズ会員
浜名優美[ハマナマサミ]
1947年生まれ。1977年、早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士課程満期退学。南山大学総合政策学部教授・副学長。専攻は現代文明論・フランス思想
尾河直哉[オガワナオヤ]
1958年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士課程満期退学。早稲田大学他講師
北垣潔[キタガキキヨシ]
1965年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士課程単位取得退学。カリタス女子短期大学助教授
坂本佳子[サカモトヨシコ]
1966年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。相模女子大学教員
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