感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
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同時期に始まった天理教や大本教よりは地味ですが、江戸末期に生まれた個性的な神仏新宗教、如来教教祖きのの研究書です。内容は濃く魅力的なので、書き方でもっとおもしろくなるはずですが、どうも味気ないのが残念なところです。しかし、生産・家族イデオロギーを支えることを否定し、安直な現世主義を排して個人を中心にした如来教は中世的で近代という時代には流行らない宗教だった、との見方は興味深いものです。近代の枠組みが人の幸せを保証しない事が明白な現在、近代が取りこぼした中世の再摂取に積極的な意味があるように思います。2013/05/02