内容説明
『人間喜劇』全百篇のすべて。要約にあたっては、既に結末を知っている執筆者がバルザックの意図を先取りして自分で再構成するようなやり方は避け、可能な限り語りの順序や場面の雰囲気を再現するように努めた。
目次
第1部 風俗研究(私生活情景;地方生活情景;パリ生活情景 ほか)
第2部 哲学的研究(あら皮;フランドルのイエス・キリスト;神と和解したメルモス ほか)
第3部 分析的研究(結婚の生理学―夫婦の幸福と不幸に関する折吏哲学的考察;結婚生活の小さな悲惨;社会生活の病理学 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
95
「ハンドブック」と対をなすバルザック「人間喜劇」読破のための有効な武器であり、これを全部を読んだわけではなく現在読了分(31/89篇)までのあらすじ確認のため読んでいる。彼の場合、登場人物間のつながりが重要だが、読んだ先から記憶できていない人物・出来事等が多く「そうだったのか」と思い出すことが多々である。本篇は我がオソマツな記憶を補強してもらい、かつ敬愛するバルザックを身近に感じる「安心本」として重要である。従って未読了の作品のあらすじは原則として読まず、1冊づつ読了ごとに読んでいくことにしたい。2023/06/03
訪問者
3
これを読んで一番読んでみたいと思ったのは「アデュー」。記憶喪失となった女性の記憶を取り戻すために、きっかけとなったナポレオンのロシア遠征時のベレジナ河越えを再現させるという奇想が描かれている。後年、映画やドラマなどでこの設定は繰り返し使われるようになったが、オリジナルはおそらくこのバルザックの作品ではなかろうか。2018/10/27