内容説明
欧米先進国による収奪という視点で描くラテンアメリカ史の決定版。
目次
序 台風の真只中にいる1億2000万の子供たち
1 大地の富の結果としての人間の貧困(金ブームと銀ブーム;砂糖王とその他の農業の君主たち;地下の権力源)
2 開発とは航海者を上回る数の難破者を従える船旅である(早死の物語;現代の略奪の構造)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
35
もう、四半世紀以上も以前の本。読みたくてチェックしてあったが、当時は、読める状況ではなかったし、そもそも本を買えなかった。ようやく念願の本書を手に。中南米への欧米(資本)による収奪というテーマは自分の読書の大きなテーマのひとつ。本書についての感想は既に何度となく呟いてきた。本書を読んで、スペインやポルトガル、オランダはもとより、アメリカやイギリス、フランス、ドイツなどがいかに中南米を収奪し、人民を虐待しまくったか、その現実を知って、怒り心頭に発することもしばしば。 2018/08/16
こなやぎ
7
青山南氏のエッセイに出てきて気になったので手に取ったが、見た通りの質量やページ数なみ、いやそれ以上にヘビーな本だった。欧米の、自らを「先進国」と称するまでの発展の歴史は、言い換えればアメリカ大陸の犠牲と征服の歴史ということになる。本書の刊行は1971年だが、その頃日本も(とりわけ産業面で)似たようなことをアジア諸国にしていたのだと言えよう。つらい読書ではあったけど、世界の一側面をまた垣間見られたという満足感は確かに感じる。2018/01/05
ジョン・リード
5
1971年のウルグアイで出版されいくつかの国で発禁となった本。故チャベス大統領がオバマ大統領に寄贈した本として有名。アメリカやヨーロッパによる中南米での略奪と殺戮の歴史だが、近代はアメリカが主人公。政治や軍事力をからめてアメリカのグローバル企業が農作物、地下資源、労働力を根こそぎ絡め取っていく様は凄まじく、民族(自立)的な政府ができるとクーデターなどで政府そのものを潰してしまう。中南米で反米国が多い理由もよく分かる。直訳したような言葉が読みづらいが、今後の日本を予測する参考になるのではないだろうか。 2017/01/08
Arte
0
初版1971年。南アメリカ諸国が、最初はスペインに、それからアメリカに、地下資源やコーヒーやゴムの生産地として、いかに土地と労働力を奪われまくったか、という話。ゴムの種を蘭だと偽ってこっそり持ち出したり、特定の作物だけを作らせて、残りの土地は利用させず、食糧も生産させなかったとか、唯一途中まで外国の干渉を跳ねのけていたパラグアイも、結局周囲から侵攻されて人口の半分以上、成人男子のほとんどを殺されたとか、資本主義黒書という感じ。2024/03/26