内容説明
あの東京大空襲をくぐりぬけ、浅草に今も残る戦災樹木をもとにした、静かで深い平和への祈りの物語。
著者等紹介
宮川ひろ[ミヤカワヒロ]
群馬県に生まれる。金華学園卒業後、小学校に勤務。新日本童話教室、「びわの実学校」で童話を学ぶ。主な作品に『夜のかげぼうし』(赤い鳥文学賞)『つばき地ぞう』(新美南吉児童文学賞)『桂子は風のなかで』(日本児童文学者協会賞)『きょうはいい日だね』(ひろすけ童話賞)等
渡辺洋二[ワタナベヨウジ]
1943年東京都に生まれる。武蔵野美術大学卒業。柔らかい色調で描かれたユーモアとペーソスあふれる絵は、多くの人を魅了してきた。主な作品に『やいトカゲ』(舟崎靖子・作、絵本にっぽん賞)や『ぽんぽん山の月』(あまんきみこ・作、絵本にっぽん賞)、『アルマジロのしっぽ』(岩瀬成子・作、赤い鳥さし絵賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
anne@灯れ松明の火
27
SNSで、終戦記念日に読みたい本としてご紹介され、予約。かわいらしいタイトルと表紙だが、切ない内容。東京大空襲に遭った、浅草に残る戦災樹木をもとにした物語。カズヤと両親は、銀杏の木を手を繋いで囲んで以来、「だっこの木」と呼んだ。招集されたお父さん、疎開したカズヤとお母さん。「また三人でだっこしたい」と願い、語り手である木も、その日が来るのを待ち続ける。しかし……。人も木も、必死で戦争をくぐりぬけ、生きてきた。最後の言葉が、胸にずーーんと響く。 渡辺洋二さんの優しい絵にホッとする。2022/08/28
ぱお
25
戦争の悲しさが胸の奥深くに伝わってきます。みんなに読んでもらいたいと思いました。2014/12/06
かおりんご
23
読み聞かせ(139)子供には難しい表現が多かったので、その都度意味を補いながら読みました。どうして空襲があったのや、原爆のこととかになると、背景が色々とあって説明が難しい。昨今の北朝鮮問題と関連させながら、2年生なりに戦争について考えていました。3月10日に読むのも良さそうです。2017/09/20
かおりんご
22
絵本。読み友さんの感想で気になり、借りてきました。東京大空襲のことが、ほんのりとわかります。2年生には空襲や召集令状は難しかったのと、どうして木が焼けたのかが伝わりづらかったので、4年生くらいからがいいのかもしれません。2017/09/19
ヒラP@ehon.gohon
12
戦争を語り続けるイチョウに、戦争の傷跡が残りました。 そして、その空洞は母子にとってお父さんを思い出す空間だったのでしょう。 カズヤは大きくなって孫とイチョウを訪れました。カズヤは自分の父親と、戦争の悲惨を伝えたかったのです。渡辺洋二さんの絵がほのぼのとしていて、戦争のつらさがオブラートにくるまれたように心の中で溶けて拡がります。戦争は人々の身近にあったことを痛感しました。2011/10/21