感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumicomachi
1
2003年刊行の第1歌集。タイトルにある「ガーデニア」とはくちなしのこと。白い花だ。濃厚な白、というのだろうか。そんな気配がする。水の気配、花の気配、恋の気配、そうしたものに満ちている。静かで、優しくて、凶暴な気配。〈南下する前線 北上するエロス 口移さるる水こぼす午後〉〈南南東暴風域へゆうぐれの男と行きて行きてもどらぬ〉〈かなしみはかなしみのまま中空に一艘の白き船発たしめよ〉栞文は藤原龍一郎、田中槐、田島邦彦、井上荒野。名久井直子による装幀が隅々まで美しい。2019/08/10