内容説明
阪神淡路大震災と関東大震災という二つの震災をはさんだ時空、そこに呼び込まれた十二人の詩人たち。偶然とはいえない詩人たちの息づかいをききながらの旅。
目次
1 魂の旅人たち(金子みすゞ―魂の旅人;中原中也―神の道化;尾崎翠―第七官界彷徨;宮沢賢治―銀河系宇宙 ほか)
2 アヴァンギャルドな詩人たち(萩原朔太郎―青猫のダンディズム;小野十三郎―ドライ・ハードな場所;北園克衛―プラスティックな夢;古賀春江―空虚の距離 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みどり
7
完全にツボを押さえられていた。尾崎翠、萩原朔太郎の名前だけに惹かれて本を読んだけれど、新たな人に出会えた。特に気になったのが大手拓次。薔薇の詩人と言われた大手拓次だが、香水、月、幽霊などへのマニアックな感覚はボードレールと通ずるところがある。大手拓次もボードレールに魅せられ影響を受けた詩人の1人なのだそうだ。萩原朔太郎は日本のボードレールと呼ばれたらしいけれど、なんと萩原朔太郎も大手拓次に影響を受けたとのこと。好きなものはなぜか繋がっていってしまうのだろうな。大手拓次の次はボードレールに挑戦しようかな。2017/05/13
take0
3
2000年刊行。書名から金子みすゞと尾崎翠の二人を論じてるのかな?と思って借りたら、副題にあるように二人を含めて十二名の詩人を論じた詩人論集だった。折角なので全編に目を通す。詩にはどうも馴染みがないというか、自分には詩に感応する感受性が欠けているように思われる。詩論を読むと興味深いところもあるのだが。尾崎翠について、詩人である著者は尾崎翠を詩人として捉えているようで、この本が作家論であり、また著者には他にも尾崎翠を論じた著作もあり、そちらは未読なので一義的には言えないが、作品を作家に引き寄せて語っている。2018/10/26
amamori
0
尾崎翠論は30頁ほど。ケルト文学と松村みね子、「こおろぎ嬢」で言及されるフィオナ・マクラウドなど。蘚の恋と高群逸枝の「恋愛創生」の関連、充分な記述ではないがおもしろい指摘。2010/10/29