内容説明
西太后と李鴻章が最も信頼し、安岡正篤が最も尊敬した男。欧米列強の侵略、空前の飢饉、官僚の腐敗―衰えはじめた大清帝国で、一人のエリート官僚が大カルト教団“太平天国”の反乱鎮圧を命じられた。激動の清朝末期を描く歴史大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kenji Suzuya
1
1800年代半ばの清で、科挙官僚として出世しながら、文官であるにも関わらず郷里で義勇軍を組織して太平天国の鎮圧に大功があったのみならず、左宗棠や李鴻章を登用して引き上げるなど清の近代化にも功績があった曾国藩を描く小説。反乱側である太平天国とパラレルに描かれていく。小説にありがちな主人公礼賛は一切なく、曾国藩は等身大に失敗を重ねていくところもまた好感が持てる。2016/07/21
takehiro
1
名前しか知らなかったけど、すごい官僚だったんだなあ。2013/10/19
shige
0
非常に面白かったが、中国の地図や年表は付けて欲しかった。そして制度・官職などの解説は話の途中で書くのではなく、巻末に纏めて解説の方が良かったかも。2013/01/11
韓信
0
おそらく日本で唯一の曽国藩が主人公の歴史小説。湖南の田舎生活から科挙受験、礼部侍郎としての活動から太平天国鎮圧、天津教案、馬新貽暗殺事件の審理まで、曽国藩の生涯を余すことなく描く労作だが、人物造形が平板で小説としての面白みに欠ける。科挙の様子や、太平天国側の視点で描かれる江南の惨状など、清末中国社会を克明に描いた小説としては一読の価値あり。とくに史書に見る「子を易えて食う」を調理過程まで含めて克明に、しかし淡々と描くことは、日本の作家にはなかなかできないだろう。あと江南の地名が頻出するので地図が欲しかった2022/12/11