内容説明
詩人が文を書き、三輪滋がそれに応えるカタチで製作された絵本“シリーズ・ちいさなつぶやき”は1970年代に出版され、一部に熱烈なファンを生み、以後現在まで語り継がれて来た。全6冊の中でも、ひときわ異彩を放ち、かつビビットな反響を生み出した谷川俊太郎とのコラボレーション。入手困難となっていた『おばあちゃん』『ひとり』『せんそうごっこ』が、3冊合本で再登場。発売当時に物議を醸したその内容は、21世紀の現在の私たちに何を語るのか。三輪滋渾身の描き下ろし表紙で、装いも新たに生まれ変わった“僕と世界”をめぐる3つのストーリーが、新たな読者を獲得すべく、今ここにある。
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
1931年、東京生まれ。1952年、第一詩集『二十億光年の孤独』出版。以後詩、エッセー、脚本、翻訳などの分野で文筆を業として今日にいたる
三輪滋[ミワシゲル]
イラストレーター。1941年愛知県生まれ。名古屋市工芸高校産業美術科卒業。百貨店宣伝部、デザイン制作会社を経て’70年より独立。ポスターで日宣美展奨励賞、「ステンドグラスの中の風景」で第45回文学界新人賞受賞。東京都府中市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パフちゃん@かのん変更
53
おばあちゃんがひとりで戦争ごっこをする話かと思ったら、「おばあちゃん」「ひとり」「せんそうごっこ」という三編のお話の入った本だった。表紙の絵はどうなのって感じだが・・・。どの話も心にグサッと突き刺さるお話。さすが谷川俊太郎です。2015/02/21
zero1
38
「せんそうごっこ」戦争はカッコいい?勝てば善?負ければ悪?【せんそうってべんりだね。ひとをころしても だれにもしかられない】は、いかにも谷川らしさ。📚️読んでいてチャップリンの映画「殺人狂時代」(1947年)を連想。【一人を殺せば殺人者だが、百万人を殺せば英雄だ。数が正当化する】One murder makes a villain, millions a hero. Numbers sanctify.📚️本書は痴呆の祖母を介護する「おばあちゃん」と、ひとりが好きな少年の「ひとり」も収録。2025/08/06
ヒロ@いつも心に太陽を!
30
『おばあちゃん』という話をArneという雑誌で読んだ。貸してくれた友人から「ボケになったおばあちゃんの話だよ。ちょっとびっくりするよ」と聞いていたにも関わらず、すっかり油断していた。なるほど!本当に、なかなかこれは衝撃的な絵本だった。いろいろとぐさっときて、考えさせられる絵本だった。でも「そうなんだよなぁ」と正直、同感してしまう絵本でもあった。人が老いるということ、ボケた老人をどうとらえるかということ。「おばあちゃんはうちゅうじんになったんじゃないかとおもいます。」これは一読の価値ありだと思う。2012/10/01
ヒラP@ehon.gohon
26
豪華3本立ての絵本です。 独立した3つの絵本の合冊復刻版ですが、1冊の本になってみると、見える世界も変わって感じられます。 全てに共通するのは、自分と自分を取り巻く人や世界や空気感との向き合いです。 2025/02/24
Cinejazz
16
谷川俊太郎さん作、三輪滋さん絵による、子ども目線で表現されながらも、大人社会への痛烈な皮肉が込められた三作品。認知症の老人を抱える家族の現状を捉えた『おばあちゃん』、孤独を好む少年心理を追った『ひとり』、戦争を繰り返す人間の愚かさを描いた『せんそうごっこ』、いずれも大人たちの心の深層を抉る絵本。2024/09/28