内容説明
なぜあれほど多くの血が流れたのか、なぜあれほど多くの優れた歌がつくられたのか。大化の改新から平安遷都まで、新たな国創りが始まり、いくつもの試練を経て完成し、やがて停滞し、崩壊に向かった、およそ百五十年の歴史に問い続ける期待の新鋭のデビュー作!!
目次
歌の手解き
大伴一族の男たち
槻の樹の下
大化の改新
蘇我倉山田石川麻呂の死
右大臣大伴長徳の誕生
志斐嫗
三山の妻争い
難波長柄豊埼宮
両槻宮〔ほか〕
著者等紹介
山縣千洲[ヤマガタチシマ]
1942年生まれ。大学卒業後、岡山県企画部次長、岡山県県議会事務局長、国体役員等に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新父帰る
8
著者は市井の研究家。本書は大宝元年(701年)に生を受けた大伴坂上郎女を主人公とその父母や祖父母、曾祖父母そして最後に孫等に大化の改新から平安京遷都までの150年の大和朝廷の変遷と大伴一族の栄枯盛衰を語らせる物語。主人公の父・安麻呂は大納言まで上り詰める。また、異母兄には大伴旅人がいる。由って随所に万葉の歌がちりばめられている。勿論、壬申の乱の時には大海人側に就いて叔父の馬来田や吹負が大活躍をする。一族の言立(家訓)は大伴家持の『海ゆかば』だ。この150年は正に内外とも動乱期だったことがこの書で分かる。2020/02/07