内容説明
むかしむかし、あるところに、庭のない街がありました。ある日、少年リーアムは、街をあるいていて、使われなくなった鉄道の線路あとにかれる寸前の草木を発見。リーアムは草木をたすけようと、世話をはじめます。やがて、草木は息をふきかえし、街はすこしずつ姿をかえ、いつしかみずみずしい緑にあふれた世界にかわっていったのです。『ふしぎなガーデン』は草や木がビルのあいだをぬうように広がり、大都会でも自然は力づよく生きのこっていけることを描いた、魔法のような本当にあった物語です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
178
この街には草木一本ない。固められた大地、煉瓦で覆われた建物では、恵みの雨もただ排水口を通って当てもなく流れていく。ここにも華やぎや潤った葉のざわめきがあったことを、もう誰も記憶していない。傘をさして散歩するリーアムが見つけた階段の先、誰も近づかない廃線の一角に僅かに残っていた小さな生命。初めて触れる植物の瑞々しさを守るために水を運び続ける。植物は友を見つけて喜びを広げていく。種子は風に運ばれ雨を待つ。街の隙間から根を張り葉を広げ、不自然を自然に包み込んでいく。もうすぐ黒煙で濁った空も本来の色に戻るだろう。2023/07/30
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
46
【路傍の花】を心に留めて花と触れ合う生活をしていて、職場で【一人緑化運動】に取り組んでいる僕には、ストライクでした。本当はネタバレ注意ですが、カバー裏に内容が全部書いてあります。ヾ(- -;) 自然に乏しい都会に住む一人の少年が、廃線になった鉄道の線路脇で枯れそうな草木を見つけ世話をします。やがて植物たちは線路沿いに伸び、ビルの間を縫うように広がって、街は瑞々しい緑と花であふれるようになります。暖色系を基調にした柔らかい絵。しなやかさが植物の強み。硬くなってるとアスファルトに跳ね返されて折れてしまいます。2014/06/27
tokotoko
41
私の感想、501冊目です☆このお話、本当にあったそうです。どこであったかは、作者のピーターさんがあとがきで教えてくれます。書きたいけど、ピーターさんががっかり・・・しそうなので、やめときます。1ページのあじけなーい街が、最終ページにはどんな変身を遂げるのか?少年リーアムくんのかわいい活躍と変身?もどうぞお楽しみに。そしてね!最終ページの街の「どこに住もっかなぁ~」って眺めてみてね!とーってもワクワクするからね☆2014/06/08
陽子
29
緑のない、庭のない街はさびしく人々は家に引きこもっている。リーアムというひとりの少年が見つけた高架橋の廃鉄道へと続く階段。その先に見つけた緑の可能性の芽。少年の未知への好奇心と忍耐強い手入れでみるみる生き還っていく緑たちの様子が絵本ならではの楽しさと夢で広がっていく。 自然力の強靭さと、緑と共存できることの人間の幸せが伝わってくる。「どんな大都会でもよくよく観察すれば、自分のまわりに自然が力強く生き残っていることに気づくようになる。見つけることができる」という作者のあとがきに共感の思いだった。好きな絵本。2019/10/24
mntmt
28
庭も知りたがりやなんだな。灰色の街が緑に変わってゆく様子が良かった。原題:The Curious Garden2016/06/22