著者等紹介
ビアンコ,マージェリィ・W.[ビアンコ,マージェリィW.]
1881年、ロンドン生まれ。結婚後、アメリカに住む。初期は小説を書いていたが、『The Velveteen Rabbit』を機に、絵本の作家に転身。30数点の作品を残している。1944年、ニューヨークで息をひきとる
酒井駒子[サカイコマコ]
1966年、兵庫県生まれ。東京芸術大学美術学部卒業。98年の絵本デビュー以来、次々と作品を発表。その華麗な画は国内はもとより海外でも評価が高い。『きつねのかみさま(文・あまんきみこ)』(ポプラ社)で2004年日本絵本賞、『金曜日の砂糖ちゃん』(偕成社)で2005年ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)金牌を受賞、『ぼくおかあさんのこと…』(文溪堂)で2006年フランスにてPITCHOU賞を、オランダにてZilveren Griffel賞(銀の石筆賞)を受賞。装画も多く手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
517
これは酒井駒子さんの絵本を代表するものであるとともに、彼女の美質が最大限に発揮された1冊だろう。この人の絵は、けっして動きがないわけではないのだが、動きの中の一瞬を切り取った静止画に特質があるようだ。その意味でもビロードのうさぎは格好のものである。男の子の表現にしても躍動よりは内省に中心が置かれている。また、あくまでも柔らかな形状と印象派風の光とが絵本に横溢する。しかし、そうでありながらも、明るさよりは孤独や一抹の寂しさがそこにはある。それが酒井駒子絵本の深みか。 2022/11/09
馨
348
絵が可愛い。私も小さい頃に気に入って、大事にしていたぬいぐるみたちは、こんなふうにほんものになって幸せになってくれていれば良いのになと思います。2018/04/15
やすらぎ
277
ねえ、ずっと離れないでいて。また木いちごの茂みで遊ぼうね。クリスマスの夜に出逢ったビロードでできた小さなうさぎは、ずっと一緒にいたいと願っている。暗闇の木箱に入れられてしまえば、みんなのことを忘れてしまいそうで恐かったし、明かりが見えればできるだけ近づいていたいと思っていた。ほんとうのものになれるって、どんなものになれるの。もし心と体が別々になったら何が起こるの。それがひとつになってしまったらもう戻れないっていうけれど、それは悲しいことなの。この落ちた涙の温もりをずっと大切に閉まっておくことはできないの。2022/12/18
seacalf
254
もうとにかく絵の素晴らしさに心を奪われる。独特の吸引力があるのよね。あっという間にお話の世界に引き込まれる。いとけないうさぎのピュアで真っ直ぐな意地らしさが伝わるストーリーで、最後には目を潤ませる。クリスマスの時期にはこんな魔法を信じたくなるなあ。酒井駒子さんの作品にもっと触れてみたいから『森のノート』を読んでみたくなるし、このお話自体もキュートで好きなので、石井桃子版も読みたくなる。2019/12/24
糸車
244
ぬいぐるみのうさぎが持ち主の男の子に愛されることによって「ほんもの」になるというお話。じんわり心にしみて泣けました。日本でも何種類か出版されている中で、訳者でもある酒井駒子さんの挿絵が印象的で上の娘に母の日のプレゼントとして買ってもらいました。実はリアン・バンクスのロマンス小説「二人の奇跡」でこの絵本を知りました。アルツハイマー病の治療薬を研究開発している主人公が人から愛され、自身も愛を知ることで悩み苦しみながら人として成長するお話がこの絵本にリンクしていて、より深く内容を掘り下げて読むことができました。2016/04/29
-
- 和書
- 江戸語大辞典 (新装版)