内容説明
映画『夜明けまでバス停で』『「桐島です」』の脚本家が明かす、傷だらけで愛おしい人生。「黙っていたけど、あなたのお父さんは、役者でクリスマスツリー爆弾事件の犯人なの。あなたが生まれる前のこと。それからずっと、十四年も隠れて暮らしてるの」「見つかったらどうなるの?」「逮捕されちゃう」左翼、革命、学生運動、自己批判、人民の子…父は、何を守りたかったのだろう?
目次
逃亡生活 1973―1985(池袋北口平和通り商店街;ジンミンノコ ほか)
裁判~服役 1986―1991(父の初公判を傍聴に行く;自由の森学園と若松プロと宝塚 ほか)
父出所~家族解散 1991―1993(父、二十年ぶりに娑婆に戻る;家族解散)
脚本家になろうとする 2023―(名探偵コナンで脚本家デビュー;東日本大震災後に宮城刑務所へ ほか)
著者等紹介
梶原阿貴[カジワラアキ]
1973年東京都出身。1990年、『櫻の園』(監督/中原俊)で俳優デビュー。2007年「名探偵コナン」で脚本家デビュー。その後、アニメ、テレビドラマを経て、2022年『夜明けまでバス停で』(監督/高橋伴明)でキネマ旬報ベスト・テン、日本映画脚本賞など多数の脚本賞を獲得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
81
前半は子供時代ぼ著者が母と暮らす中、男が家に潜んでいた。いつも訝しく感じている著者のさまざまな体験。そんな年頃で母親に唐十郎の状況劇場のテント公園へ連れて行ってもらい観劇したという話は驚いた。その頃は石橋蓮司や緑魔子といった芸能人を生で見たというのは貴重な体験だと思う。そこから時代は過ぎやがて女優の道、そして脚本家へ。途中で同居していた男が爆弾犯で裁判で実刑を受ける。若松孝二や高橋伴明監督との出会いまで。図書館本2025/07/11
ばんだねいっぺい
22
ならではのハナシに、そうかそうかと納得する。例の詩集が響いた理由は、それぐらい幼心に秘めたる思いが溢れていたのではないか。2025/07/12
garth
9
「あの人のことを覚えて。絶対に忘れないで」から三斗小屋温泉事件、『旅立ちの時』を観に行ってしまうあたりの出来過ぎな展開。。ストーリーが完全にできあがっている。2025/07/16
ちび太
6
ラジオで高田文夫氏が、まだ爆弾犯になる前の梶原氏(著者の父)と親友だったと本書を紹介していた。「高校時代の親友」という点の強調が印象的で本書を読んでみた。本書には爆弾犯になった後の「父」梶原氏が描かれている。逃走自体が闘争で有るのだろうが、親の闘争に付き合わされる子どもは辛い。ただ親のなんらかの「闘争」に付き合わされる子は多いと感じる。共感できる点が多く驚いた。全面的に拒否するのではなく一定の理解をしながら異なる生き方を切り開いていった著者に勇気をもらえた。2025/07/11
ポルポ・ウィズ・バナナ
5
全編、「脚本」的に面白くて、だから、映像化された時により魅力を放つんじゃないかなあと思いながら読んだ。でも、時折り、それを凌駕する筆の乗りを感じるところもあった。東アジア反日武装戦線「さそり」メンバーの宇賀神寿一氏による桐島聡追悼文「やさしさを組織せよ」は分断を煽ることでしかアイデンティティを保てないしょうもない人が跋扈する社会においてめっちゃ響くなあ。あと「おわりに」がめっちゃ良い。親が服役しているからといって卑屈になる必要はないし、色々背負う必要はない。2025/07/20