内容説明
ええか。区別はええねん。差別はあかんねん「心の線が細い人の気持ちが分かるんは、心の線が細かった人だけや」「女性が生きづらいっちゅうことは、男性も生きづらいんや」1980年、東大阪。母親の言葉とニューミュージックの風に吹かれて少年は大人になる。校内暴力、貧困、ジェンダー、学生運動、民族差別。切なさを一つ一つ集めながら、大人への階段を一段一段のぼっていく…。『恋するラジオ』に続くスージー鈴木、音楽小説第二弾。
著者等紹介
スージー鈴木[スージースズキ]
1966年大阪府東大阪市生まれ。作家・音楽評論家・ラジオDJ。早稲田大学政治経済学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コンチャン
16
80年代に流行った音楽を軸に、多感な中学生の視点でその時代を切り取るように描かれた作品でした。著者の実体験も多分に含まれているのだと思います。2024/03/10
きつねねこ
6
著者の2冊目の小説。少年時代に出逢った様々な音楽や人や出来事や言葉。リアルタイムでは「点」としてしか意識しておらず、場合によっては記憶から抜け落ちていることも。しかし、実はそれら全てが有機的に繋がっていて「今の自分」を作り上げていることに中年期以降に気付く‥というのが、前作とも共通する主題だろうか。差別問題というセンシティブなトピックにも(大上段に構えず)自分の日常の中の事として果敢に書いているという印象。さらっとした筆致だが、かなり苦労して書いたのでは。最後の息子さんとの顛末をもう少し読みたかった。2024/03/16
おっぽう
6
音楽評論本でなくスージー鈴木氏の自伝的小説 同じ中河内で育ち、大阪市内の高校へ行くという背景が同じで共感する事が多く、一気に読了しました。 スージーさんとは、8才の違いがあるが、同じ原風景が見られました。 FMを聴きながら読んでいたら違和感があったので、「ザ・カセットテープ・ミュージック」のCDを聴きながら読んでいたら、「唇よ熱く君を語れ」の章の時に、同じ曲が流れるという奇跡笑笑 落涙させられる章もあり、感動しつつ読み終えました。 2024/02/06
O-chami
4
“ええか。区別はええねん、差別はあかんねん” ⇒ 母の言葉とタイトルが全てを語る、1980年東大阪、音楽好きな優等生少年の自伝的成長物語。章毎のタイトル曲をBGMに・・・想い出のスクリーン・八神純子~ラストシーン・西城秀樹~飛んでイスタンブール・庄野真代~タイムトラベル・原田真二~君の瞳は1万ボルト・堀内孝雄~ブルー・唇よ熱く君を語れ・渡辺真知子~風を感じて・浜田省吾~異邦人・久保田早紀~雨上がりの夜空に・RCサクセション~StartingOver・ ジョン・レノン~TrainTrain・ブルーハーツ🎶2024/03/25
ハマノトラ
3
東大阪で育つ不良でも特に優等生でもないスージー少年の成長物語。いちいちオカンのええ言葉、たま〜にオトンもええこと言うしなぁ、スージーはええとこのボンやと思うで。経済的ではなくいい心根に育ったと思うよな。「心の線が細い」それもええもんやで!2024/05/05
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