内容説明
誰も見たことがない太古の大型獣の復元に挑む職人たちの仕事に、骨格レプリカ、生態模型、デジタル復元、展示づくりの現場から迫る!
目次
第0章 博物館の特別展を構想する
第1章 太古の新種大型獣をよみがえらせろ!―造形編(骨格レプリカ製作の現場 骨を作る;生体復元模型製作の現場 生きた姿を再現する)
第2章 太古の新種大型獣をよみがえらせろ!―CG編(デジタル復元の現場 壊れた骨の立体パズルに挑む;3D設計図と映像制作の現場 骨格から動きまでをデッサンする)
第3章 化石ハンター展を成功させろ!(展覧会を企画する;展覧会をデザインする;展覧会を主催する)
著者等紹介
木村由莉[キムラユリ]
国立科学博物館地学研究部生命進化史研究グループ研究主幹。早稲田大学教育学部地球科学専修卒業。アメリカ・サザンメソジスト大学地球科学科にて修士号・博士号を取得。専門は、化石哺乳類の進化史・古生態・古環境。フィールド・ベースの古生物学者にあこがれ、古生物学の世界に飛び込んだ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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びっぐすとん
18
図書館本。『プロジェクトX』みたいだ。恐竜の展示って、発見されたのは体のほんの一部なのに、全身骨格が展示されていたりして「こんな一部からどうして全体がわかるんだろう」と思っていた。現生動物を参考にしたり、厳密に復元する部分と想像で補う部分の使い分け、より「らしく見える」工夫がされているのか。恐竜といえば古生物学者、宇宙といえば物理学者、歴史といえば考古学者と学者にならないといけないと連想するが、実際は様々な業種の職人さんやサラリーマン、役人など本来の仕事ではない人も関わって展示会や本って出来てるんだね。2023/05/14
しんい
12
国立科学博物館には入館したことはなかった。化石の復元にとどまらず、展示会の企画、本の出版まで、お仕事をしている人の考えを幅広く知ることができる。ちょうど「スタッフロール」で特撮用メイクや模型の世界の裏側を読んだが、あの50年前の世界から、今はCGでは満足できない「学術展示物」の世界にその技術が持ち込まれているのだな、と実感した。木村先生もとても深く、面白い方。次の展示会行きたい・・・と思ったら、恐竜博2023が開幕していました。2023/03/24
ぽけっとももんが
12
正直なところ、わたしは化石のレプリカとあると「なんだ、レプリカか」と思っていました。いやいや、わたしなんかが本物見てもわからないんだから、本物は大事に研究のために使ってください。レプリカ上等。頭骨などが潰れた状態で化石になることもあり、それは元の形にできうる限り戻してやらなくてはならない。足りない骨もある。化石を復元するために携わるいろんな職業の人へのインタビューがおもしろくないわけがない。それにしても科博行きたい。2022/09/19
みや
10
2022年に国立科学博物館の特別展で展示されたチベットケサイのレプリカを作った古生物復元師たちのインタビュー。展示プランナー、デザイナー、CGクリエイター、研究者、骨格レプリカ職人、生体模型職人、鉄骨屋、博物館職員、主催者など各分野のスペシャリストが互いの知識と能力を活かし合いながら一つの展示を作り上げる姿が本当に熱くて格好いい。生物の体の曲線を内側から支える鉄骨屋の話が特に興味深かった。リアルに拘りながらも敢えて強調させることで説得力を演出する生態模型職人の考えも面白い。博物館での見方が随分変わりそう。2023/09/17
多津子
9
表紙や導入の雰囲気から子供向けかと思ったが、読みごたえのある本だった。2022年に科博で開催された化石ハンター展のチベットケサイ復元プロジェクトにおける、様々な分野の職人たちの仕事がわかる本。今までは骨格標本がレプリカだと残念な気がしていたが、これだけの技によるものだと思うと見方が変わる。レプリカを展示し、本物は研究のために保管だそう。素人目にはわからないしそれでいいと思う。展覧会は行かなかったがこの本を読んでから見たら、より一層楽しめただろう。実際の展覧会の様子が最後にあれば、もっと楽しめたのにと思う。2023/05/04