内容説明
イギリスで見つけたモグラの古い標本と、不可解な日本語のラベル。そこから、100年の時を超える研究の旅が始まった。そして見えてきた、財閥ロスチャイルドとの関係とは?『標本バカ』の川田伸一郎が放つ、標本謎解きミステリー!
目次
序章 あるモグラの標本ラベルが、僕とアラン・オーストンを引き合わせた
第1章 古い標本の向こうに見えてくるもの
第2章 動物学誕生前夜、残された動物たちの記録
第3章 日本の動物学の夜明け
第4章 ロスチャイルドと海南島の採集人
第5章 オーストンの交流歴
第6章 一〇〇年前の横浜
第7章 オーストンを追って、一〇〇年の時を超える旅へ
著者等紹介
川田伸一郎[カワダシンイチロウ]
1973年岡山県生まれ。国立科学博物館動物研究部研究主幹。弘前大学大学院理学研究科生物学専攻修士課程修了。名古屋大学大学院生命農学研究科入学後、ロシアの科学アカデミー・シベリア支部への留学を経て、農学博士号取得。2011年、博物館法施行60周年記念奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うみ
11
たったひとつの古い標本に貼られた奇妙なラベルから始まった、100年の旅。これはまさに歴史ミステリ。2023/11/21
ぽけっとももんが
7
正直なところ、標本や採集人たちの系譜には興味はないしそそられもしないのだ。でもとにかく川田氏の溢れんばかりの、いやもう溢れ出している標本への愛が楽しくてたまらない。好きなものを語るときの熱量は、読む側にも間違いなく伝わる。暑苦しいとも言うかもしれない、わたしは言わないけれども。興味ないとは言いましたが、でも明治時代に珍しいものもそうでもないものもとにかく採集して採集して採集しまくった人たちがいてそれが今の動物学などの礎になっていること、知ることができてよかったです。それにしてももぐら好きなんですねぇ。2021/04/26
vonnel_g
3
「標本バカ」と装丁は似てるけれど内容は全然違う、標本ラベルに記載された日本在住だった外国人をめぐる壮大な旅。こうして研究する後世の人たちのためにも記録って大事だということがよくわかる。そしてまだ研究は継続中だそうなので、続編が出ることも考えられるのだな。ハンター博物館行ってみたい。2021/01/26
takao
2
ふむ2023/03/19
ふのりけちょ
1
前半は日本の博物学黎明期の列人伝。大御所シーボルトやモースの他、耳馴染みはあるけれどよく知らなかった、スウィンホーやブライス、プライヤーが紹介されていて参考になる。「歌うカタツムリ」に出てきたヒルゲンドルフも登場。 後半はオーストンと採集人の動向を求めての海外博物館探訪記。1本の糸を辿ることで物事が有機的につながるのが面白い。2022/02/25