内容説明
あまり知られていない子猫時代から、現在までを描く“いま、日本で一番有名な猫”が初めて童話になった!廃線寸前のローカル線は、いかにして立ち直ったか。小学生の取り組み、地域の人たちによる存続運動、その熱意に応えた情熱的な企業…猫好きはもちろん、鉄道ファンも必見のサクセスストーリー。
目次
三毛猫たまの誕生
貴志駅のアイドル
廃線の危機
日本初の猫駅長に
駅長の仕事
たまはスーパースター
「日本一心豊かなローカル線」をめざして
著者等紹介
西松宏[ニシマツヒロシ]
1966年生まれ。兵庫県出身。関西大学社会学部卒業。米国留学、週刊誌記者などを経て、現在はフリーランスライター、児童書作家。九州・福岡を拠点として、スポーツ、食、農、動物、環境問題などを主なテーマに取材、執筆活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハイランド
59
子供向けの本だと軽く読んだら思わず涙が。廃線が決まった貴志川線。何とか残したいと住民が知恵を出し合い力を尽くす。たま駅長もその中のアイディアかと思ったら、駅の商店で飼っていた猫たちの小屋が取り壊されるにあたり、猫たちを駅で飼うための苦肉の策だったとは・・・。結果として貴志川線に多くの客を呼ぶ招き猫となる。駅長は今年6月に16年の生涯を閉じたのだが、廃線の危機を救った奇跡の猫として長く人々の心に残るでしょう。後任の駅長に会いに行きたいが、和歌山はちと遠いので、会津の芦ノ牧温泉駅のばす駅長に会いに行こうかな。2015/11/30
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
59
たま駅長ですっかり有名になった和歌山電鐵貴志川線貴志駅。この本は廃線に追い込まれた貴志川線がいかに現在のような有名な駅になったのか、たま駅長誕生秘話を含めたサクセスストーリー。廃線間近にあった貴志川線が廃線にならずにすんだのは、決して偶然なのではなく必然だったのだと思わずにはいられません。地元の人が一丸となって路線を残そうとする努力。そしてたまをはじめとする猫たちを丸ごと引き受けてくれた和歌山電鐵の社長さんの度量の大きさに感服しました。報酬が好物のキャットフード1年分というのもシャレています。★★★★2012/06/05
miww
56
たま駅長の生い立ちから駅長就任への経緯、廃線の危機に瀕した貴志川線存続への地元住民の方々の努力について語られた本。以前から駅で暮らしていたたま達猫3匹は貴志川線が南海電鉄から和歌山電鐵に引き継がれる際、諸事情によりそこに住み続ける事が難しくなる。飼い主の小山さんは意を決して社長に駅の中に猫を住ませて欲しいと頼む。「‥駅に住むのなら何かしてもらわなきゃいけませんね(笑)たまちゃんに駅長をやってもらいたいんですよ」なんともハートフルなエピソード。たまの性格を見抜いた社長の采配とたまの資質が生んだ奇跡の出来事。2015/10/19
みさどん
20
大きな都市を抱える県でさえ、トータルでのバス路線は赤字を出すという。ローカル列車の抱える存続問題はさらに大きいだろう。日本の政策は進んでいない。旅行に行けば、レンタカーを借りる以外に利用するのはバスや列車という公共機関なのだ。海外でもそれに頼るところは大きい。観光をうたう県ではそこを大事にしてほしいといつも思う。本を読むと、猫のたまがクローズアップされているけれど、沿線の方々の努力の結晶だと思われた。今後もこんな電車が生き残っていける地域が増えるといいのに。2016/03/06
roomy
16
ライブラリー本。和歌山電鐵の社長さんと地元の力で廃線を免れた貴志川線。こんなかしこい猫ちゃんがいるんですね。このまま路線が維持されることを願うばかりです。日本に帰ったら一度はぜひ乗ってみたいな。もちろん、たま駅長にも会いたい。2012/09/25