感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
35
ジャイアント馬場に似た男。長髪グラサンのオッサン。街角にたむろする与太者。きっかけも意図も知れない暴力。また一方では。定規で計って繰り返される様な真面目な日常の中で、自分が消えて無くなってしまうように思い失踪する男。若い女の死体を写した写真を見て考察する二人。川の中に建っている小屋の中では臓物を機械で切っていて、水が桃色に染る。社会の底辺のどうしようもない人たちと、現実から乖離した幻想的な残酷性。その2つともが'70年代の若者のニーズにあっていたのだろうな。2023/04/02
内島菫
17
つげ忠男のマンガに出てくる音と静けさが気になっていたが、ずばり「音」という作品があった。斜線と斜線の隙間が光になる描写のパルス、脈動、ビート。つげ忠男の絵は止まっている、というか、瞬間を描いているように見えるが、彼の斜線は音を思わせ、時間を、繰り返しをたどる。「捜索」は、兄つげ義春の「ねじ式」と「ゲンセンカン主人」を混ぜたら、牛乳と酢を混ぜたような分離を示しているようにも思える。2019/11/02